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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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「普通の人たちって、何事もないんだね」



こんなに叫んでも、
私たちの声は届かないの?

幸せな日常を断ち切られた女子高生たち。
ネグレクト、虐待、DV、レイプ、JKビジネス。
かけがえのない魂を傷めながらも、
三人の少女はしなやかに酷薄な大人たちの世界を踏み越えていく。

最悪な現実と格闘する女子高生たちの肉声を
物語に結実させた著者の新たな代表作。

***

まず、主人公三人の言葉遣いが古い。
仕事上十代の子を教えている身としては、違和感が拭えなかった。
「~じゃんか」とか今どきの子は言いません。
「超」のことを「チョー」と書くのも、荻原浩氏もそうだったけど
年輩の作家さんが無理に若者言葉を使っているのが丸わかりな印象。
昭和のスケバンかと思うような言い回しが随所に見受けられたし。

そして、けっこう散々な目に遭っている少女たち、
その痛みがまったく伝わってこない。
つらいことがあったときの表現が「泣く」ことだけなので、
表現の乏しさを感じた。
レイプされた真由にしても、そうされた苦しみが描写不足。
男が怖くて仕方なくなるだろうに、JKビジネスに手を出そうとしたり、
男の家に転がり込んだり、また別の男にフラフラついていったり。
あんた本当にレイプされたトラウマ抱えてるの?という感じだった。

主人公たちの行動パターンも、フラフラと悪い男に付いていく→
後悔して逃げる、の繰り返しなので、ただの馬鹿にしか感じなかった。
そうせざるを得ない切迫した感じも伝わってこないし。

何より真由の性格が掴めない。
育ちの割といい女の子、という設定なのに、品行方正なキャラかと思えば
いきなり馬鹿なギャルみたいな乱暴な言葉遣いしたりと、最後までキャラが掴めなかった。
もうひとりの主人公・リオナのキャラ設定はしっかりしていたけれど、
繰り返すけど本当に真由のキャラがわからない。
三人組のひとりが痛い目に遭っても、「えーうそーかわいそー」みたいなノリで
アホの子みたいだったし。
ミトが妊娠して流産しても主人公三人たちのノリがアッサリし過ぎていて、
妊娠するってことをナメてんのか?と腹が立った。
ミトのラストも、「やっぱ懲りねえなこいつ」と鼻白んだ。というか
安い漫画のご都合主義みたいな展開で白けた。
三人が転がり込んだ金持ち大学生の家に何で都合よく金属バットが
あったのかも謎だし。セキュリティ完備のマンションに、たとえ防犯目的でも
そんなものあったらおかしいだろうに。

年齢を感じさせない作品を書く作家さんもいることは確かだけど、
桐野氏が齢67にして女子高生を描くことは失敗だったと言わざるを得ない。
これは十代の子供を知る人間が読んだらリアリティのなさに
呆気にとられるのでは。

桐野さんは好きな作家さんだけど、本作は私の中では駄作。
無理に若者を書くのはやめて年相応のものを書けばいいんじゃないかと思う。

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80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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