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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
途中まで書いて放置していた長編を
数日前から書き進めています。
どうしても獲りたい長編の新人賞があるので
年内に脱稿して応募するつもり。
今まで応募していたほかの短編賞は捨てる。
 
先日、八年前から手紙のやり取りをしている
敬愛してやまない某作家さんのサイン会に行ってきたのですが、
彼は私を憶えていてくれ、
本には読者の名前と彼のサインしか書いてはいけない決まりなのに
私にだけはひと言コメントを書いてくれた。

「書いてください」

この言葉を支えに、どんなにつらくても脱稿までがんばります。
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『チルドレン』から、12年。
家裁調査官・陣内と武藤が出会う、新たな「少年」たちと、罪と罰の物語。

***

余談ですが、私がミステリ作家を志すきっかけになったのが、
もう十年以上も前に読んだ前作「チルドレン」でした。
なので続編が出たと知って期待に胸膨らませて読んでみたのですが。。。

「ああ、プロットきれいにまとまってますね」。
そんな印象しか受けなかった。
「チルドレン」みたいな名言もないし、変に社会派入ってるし、
少年犯罪について語り部の武藤は「こう思うひともいる。でも、こう思うひとも
いる。簡単にはどちらかに賛成出来なくて、難しい」
ばっかり言ってるのではっきりせいよと言いたくなる。
「チルドレン」では陣内が銀行強盗に人質にされてる状態で
唐突に歌とか歌い始めるみたいなとても魅力的なシーンがあったのに、
本作ではそれもない。
タイトルの由来も、「チルドレン」は「ははあ、なるほど、だからこの
タイトルなのか」と非常に納得がいったけれど、「サブマリン」て何だ?
内容に関係あったっけ?

陣内のキャラが薄くなっているのも残念でした。
私が年を取って眼が肥えすぎてしまったのか、
伊坂氏が年を取って作風が地味に落ち着いてしまったのか、
わかりませんがあまり楽しんで読むことが出来ませんでした。

同著者の著作「死神の精度」も、続編の「死神の浮力」は
あまりよくなかったしなあ。。。

胸に迫り来るようなリアリティ、切なさ、そういったものが
最近の伊坂氏の著作からは
失われている。安定しすぎてしまって読む者の心を揺さぶらない。
「アヒルと鴨のコインロッカー」「重力ピエロ」なんかは
大好きだったのですが。。。
「終末のフール」「魔王」なんかも。

そして本作中に登場する少年・棚ボタくんの両親の死因が
桜塚やっくんの亡くなり方と酷似していて、もし伊坂氏がネタにしたのかと思うと
ちょっと腹立たしさを禁じ得ない。

決して駄作ではないんだけれど、
私としてはもっと伊坂氏が己のリミッターを解除した状態で書いたものを
読みたかった。

なぜなら僕にはあなたにはない闇があるから。


 
このページをめくれば、
あなたはこれまでの人生の全てを失うかもしれない。

一行目に不気味な文章が書かれた、ある人物の手記。
それを読む男を待ち受けるのは、狂気か救済か。
 
***

「このページをめくれば、
あなたはこれまでの人生の全てを失うかもしれない」

帯にもそう書かれた本作。
大袈裟なのでは、本当にそこまでのものが描かれているのか、と
ほんの少し訝りながら読み始めましたが。。。。。。

納得しました。
そういうことか、と。

重度の鬱病の女性を愛した精神科医の物語。
彼はどうにか彼女を救おうとするが。。。というのがあらすじ。
こう書くとすごくありがちに思えるかもしれませんが、
人間心理がこれでもかと細かく描かれていて、
「著者の中村氏、ここまで物事を細かく見れて人間の本質を見抜けちゃうなら
生きづらいだろうなあ。。。」
とまで思った。

純文学作家さんだけど元々がミステリの要素を取り入れた物語を書くひとで
最近は特にミステリづいて来ているので、
純文ファンもミステリファンもどちらでも読める。

出だしから何が始まるのかとドキドキさせられ、
宮崎勤などの著者の考察も興味深く、
ラストシーンでは切なくてやるせなくて胸が締め付けられるようだった。
あっという間に物語は終わった。
ほんのわずかな希望だけ残して。
 
初期の中村作品が私は特に好きなのですが、
中村氏が公私共に充実している(いや、実際は知りませんが)せいか
最近は孤独が描かれず妙に明るくなってしまったなとちょっと残念に
思っていたのですが、中村節は健在だった、
いやむしろパワーアップしていると非常に喜ばしく思った。

非常におすすめです。
中村氏の抱える闇にやっぱり私は惹かれてならない。


懲戒免職処分になった元警視庁の敏腕刑事が作成した
〈完全犯罪完全指南〉という裏ファイルを入手し、完全犯罪を目論む4人の殺人者。
「春は縊殺」「夏は溺殺」「秋は刺殺」「冬は氷密室で中毒殺」。
心証は真っ黒でも物証さえ掴ませなければ逃げ切れる、
と考えた犯人たちの練りに練った偽装工作を
警視庁捜査一課の海埜刑事はどう切り崩すのか?
一体彼らはどんなミスをしたのか。

***

二時間ドラマをちょっと深くした内容。
「へえ、この殺し方じゃこういうところからボロが出るのか」
と大いに参考になった(小説を書く上で)。
最後のどんでん返しは想定の範囲内だったけど、そのあと更に続く
ふたたびのどんでん返しにはちょっとびっくり。爽快だった。

四人の犯人には動機にもキャラにもそれぞれ特徴があって、
ラストで刑事・海埜にやり込められる様は爽快だったりほんのり悲しかったり、
著者がコメントで書いているように「犯人側のドラマも書けるからいい」
と言っていたとおり、倒叙ものとしてよく出来ている。
まあもちろん、「おいおい犯人それじゃ失敗するだろ」と最初から
わかってしまう話も中にはあるわけだけど。

それにしても深水氏、読みづらい漢字をところどころに使うのと
蘊蓄がややうるさいクセはどうやっても直らないんだろうか。
まあ別にいいけど。

割とおすすめです。
古畑任三郎とか好きなひとは特に。
海埜は古畑ほどキャラ立ってないからそこだけが不満だったかな。
裁かせない。



「援交探偵」上木らいちの元に、名門企業の社長から
「メイドとして雇いたい」という手紙が届く。
東京都にある異形の館には、社長夫妻と子供らがいたが、連続殺人が発生!
一方、埼玉県に住む高三の戸田公平は、資産家令嬢・埼と出会い、
互いに惹かれていく。そして埼の家に深夜招かれた戸田は、ある理由から
逮捕されてしまう。
法とは?正義とは?驚愕の真相まで一気読み!
「奇才」の新作は、エロミスと社会派を融合させた前代未聞の渾身作!!

***

深水黎一郎氏然り、受賞作だけ賞の傾向に合わせて変なのを書いて
あとは本領を発揮するタイプのメフィスト賞作家さんがいますが、
この著者もそうだったんだな、と。
デビュー作にはセンスを感じられなかったけれど、本作は
ミステリとしてしっかりしていて面白く読めた。
まあ、著者コメントにうかがえる自信ほどの名作ではないけど。
所謂「館もの」がこんな風に描けるんだな、と感心はした。
本格ミステリにおしなべて足りないドラマ性もちゃんとあったし。
最後の一文を読んだときは背筋がぞくっとした。
そして読後タイトルの本当の意味を知ってニヤリとした。
 
おすすめです。


ボランティア仲間の輪に入れない、子育て中の奈津子。
たとえば、いますぐわたしに子どもができれば―。助産院の事務をしながら、
不妊と夫の不実に悩む紗英。
二人の異常なまでの密着が、運命を歪に変えてゆく。
そして、紗英の夫が殺されて見つかった。
女2人の、異常なまでの密着、歪な運命。
気鋭の新人が放つ心理サスペンス!

***

最近これとオチもテーマも丸かぶりな作品を読んだので
よくある話なんだなあと。
「わたしを離さないで」と酷似した話も今まで何度も読んできたしな。

女性に関する(物理的に)生々しい描写が多いので胸が悪くなった。
そして著者のテーマにしたいところはわかるけど、そこが
描ききれていない印象を受けた。
だいたい、殺された人間の死因って、解剖すればすぐにわかって
それは遺族に知らされるものなんじゃないのか?
紗英が最後までそれに気付かなかったのは不自然。
不自然と言えば奈津子が紗英の悩みを知るタイミングも。不自然というか
ご都合主義。

芦沢作品はうまくて面白いんだけど、いつもあと一歩何かが足りないんだよなあ。
でも割と好きなのでこれからも読むと思いますが。

まあまあおすすめかな。


「とにかくこの小説を世に出すべきだと思いました」
伊坂幸太郎激賞、圧倒的デビュー作。
動物のレプリカをつくる工場に勤める往本は、残業中の深夜、
動くシロクマを目撃する。だが野生のシロクマは、とうに絶滅したはずだった――。
不条理とペーソスの息づく小説世界、卓越したユーモアと圧倒的筆力。
選考委員の伊坂幸太郎、貴志祐介、道尾秀介から絶賛を浴びた、
第二回新潮ミステリー大賞受賞作にして超問題作。

***

何ページあろうと一晩で読み切ってしまうような
圧倒的なエンタメミステリが読みたい。
その希望はもろくも打ち砕かれました。

文学性は確かにある作品だけど、はっきり言って面白くない。
先が読めないというのも、ただ荒唐無稽だからというだけだし。

何よりこれはミステリじゃない。
新潮「ミステリ」大賞でこれはないんじゃないかと。

何にも増して思ったのが、本作は
映画「スカイ・クロラ」「月に囚われた男」にテーマが酷似しているということ。
目新しくも何ともない。
読後既視感以外何の感情も湧かなかった。

「自我」という言葉がやたらと作中に出てきたあたりから、
本作のタイトルとも相まってオチは読めたし。

出版不況の今だからこそ万人に受け入れられるエンタメを
輩出するべきなのに、こんな中途半端な文学作品を世に出して
選考委員は何がしたかったんだろう?

おすすめしません。


世界的テノールである藤枝和行が念願のジークフリート役を射止めた矢先、
婚約者・有希子は老婆の予言どおりに列車事故で命を落とす。
ジークフリート同様に“恐れを知らず”生きてきた和之だが、
愛する人を喪った悲しみのあまり、遺骨を抱いて歌うことを決意した。
そして和行の前に現れた美女──。
“舞台”は謎とともに華麗に展開していく。

***

本作と、同著者の「五声のリチェルカーレ」が深水作品の中では
双璧を成す人気作のようですが。。。
後者は好きなのですが、本作は読後壁にぶん投げたくなった。

まず主人公の性格がもうどうしても好きになれない。
自信満々、自己中、婚約者の死後すぐに別の女に惚れて運命の相手だとか抜かすし、
しかもその女への口説き文句が寒い。
「僕は国境なき医師団じゃなくて免許なき医師団なんだ。ネギを首に巻けるよ」
私が口説かれている相手なら速攻逃げ出す。
その運命の相手だとかいう女の描写もモテない男の妄想を具現化したみたいで
ひたすらキモいし。

そしてうんちくが多すぎて、しかもそのうんちくの書き方がつまらなすぎて、
「もういいから早く話を進めてくれよ」となる。
だいたいがうんちくの多い作家さんだけどここに極まれりって感じ。

挙句の果てにラストで唐突に始まる知人青年の謎解き。
いやあんた誰だよ。今まで探偵臭なんて欠片もなかったのに(というか
謎自体なかったのに)何いきなり謎解き始めてんだよ。
あ、これミステリだったんだ、とそのときに初めて気づいたわ。

屈指の感動シーンと言われている主人公が骨持って歌うシーンも、
ひたすら婚約者が哀れでならなかった。
こんなもんで拍手喝采が起きるか。馬鹿か。

ちょっとキレ気味なのは、私が女だからかも知れません。
「男ってやつは女がどんなに尽くしても綺麗な女がいたらすぐそっちに走る」
という、つまらないだけならまだしも不快な読後感しか残らなかったので。

おすすめしません。

ちなみに本好きの知人曰く、本作のうんちくのほとんどは
間違っているそうです。読み流しましょう。


アウトドアが趣味の公務員・沖らは、フリーライター・成瀬のブログで知り合い、
仮面の男・黒沼が所有する孤島で毎年オフ会を行っていた。
沖は、今年こそ大学院生・渚と両想いになりたいと思っていたが、
成瀬が若い恋人を勝手に連れてくるなど波乱の予感。
孤島に着いた翌朝、参加者の二人が失踪、続いて殺人事件が!
さらには意図不明の密室が連続し…。
果たして犯人は?
そしてこの作品のタイトルとは?

***

巷では「エロミス」なんて呼ばれているみたいですが、
エロの要素はそこまでなく、私的に言えば「シモ(ネタ)ミス」です。

最初に古典ゆかしき「読者への挑戦状」が著者から提示されますが、
謎解きに必要な要素は解決編で初めて出てくるものもあるので、
普通に謎解きをするのは無理。
「このトリックを見破れる者はいない」とも書かれてありますが、
そりゃ見破れねーよといったオチなので謎を看破出来なくても
悔しがることはありません。

文章は読みやすいですが、南の島へ着き「南国モード」になった
主人公・沖の語りにセンスがなく、同じメフィスト作家で似た系統なら
舞城王太郎、西尾維新のほうがよほどセンスに溢れている。
「俺はザッツトゥーバッドな気持ちで~」なんて文章に、
センスを感じますか?
メフィスト賞受賞作じゃなかったら壁にぶん投げてるレベル。

ちなみに本作、「援交探偵」シリーズとして続編が出ていますが、
その響きがもうなんか嫌だ。

シモミスというジャンルを確立したのはすごいと思ったけど、
よくよく考えたら「六枚のとんかつ」の蘇部さんが既にいたな。

暇潰しにはなりました。
フーダニットよりホワイダニットを重視する私にはあまり合わなかったけど。
味方をしてくれるのは、天ではなかった。



東京都藍出市で、幼稚園児の遺体が発見された。
被害者は死後に性的暴行を加えられていた。
事件のニュースを見た主婦・保奈美は、大切な娘は無事だろうか、と不安に陥る。
警察は懸命に捜査を続けるが、犯人は一向に捕まらない。
娘を守るため、母がとった行動とは。
『暗黒女子』の著者が放つ驚愕の長編ミステリー!

***

「聖母」という言葉の定義が本作に登場する母親のような人間を指すのなら、
私は同意しかねてしまう。
物語の見せ方はうまいと思ったけど、警察があまりに使えなかったり、ラストに
腑に落ちないものを感じたりと納得しづらい部分が多い。
真相を明かすのが唐突だったりと、ついて行きづらかったところも多々あった。

以下ネタバレ書評。

保奈美、本当に娘が可愛いなら、殺人なんかさせるなよ。
身体だけじゃなくて、殺人を二件も犯した自分の娘がこれから抱えることになる
十字架の重さを考えてやれ。
しかも自分が不妊治療に苦しんだからって、レイプされて身ごもった娘に
「産みなさい」ってそれこそ自分の価値観の押しつけだろ。
それに娘をレイプした男に再会したときのリアクションが薄すぎ。
「あいつはあのときの。。。!」ぐらい思えよ。
そしてレイプ犯の写真のアルバム、何で薫しか写ってないの?
幼女趣味でもなさそうだし、むしろ美人な真琴の写真のほうがありそうなもんだけど。
レイプ犯を自殺に見せかけて殺す、ってそう簡単にいくものでもないと思うし。
本作に散々登場する刑事ふたり、他殺だって気付きもしないで
「事件は解決しました。犯人は自殺しました」って。。。ふたりとも
有能そうに描かれてるのにそれはないだろ。
最後に、殺害された児童はレイプされた痕跡があったって描写があるけど、
保奈美どうやってそれをやったの? ディルドでも腰に装着したの?
不謹慎だけど想像すると何だか笑ってしまう。

著者の秋吉さんの著作は今後B級作品だと思って読むことにします。
プロフィール
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kovo
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女性
自己紹介:
80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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