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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
優しさで満たされている。



深瀬和久は平凡を絵に描いたようなサラリーマンで、
趣味らしいことといえばコーヒーを飲むことだった。
その縁で、越智美穂子という彼女もできて
ようやく自分の人生にも彩りが添えられる。
と思った矢先、謎の告発文が彼女に送りつけられた。
そこにはたった一行、『深瀬和久は人殺しだ』と書かれていた。
深瀬を問い詰める美穂子。深瀬は懊悩する。
ついに“あのこと”を話す時がきてしまったのか、と。

***

「絶唱」があまりにつまらなくて途中で読むのをやめたぐらいなので
本作も「どうなんだろう。。。」と警戒していたのですが。。。
面白かった。
まっとうなミステリだった。

死んでしまった友人のことを、周りのひとに訊いて回る、
そのひとが生前どんな人間だったのかを確かめていく、という流れは
漫画「彼女が死んじゃった。」に似ているものがあった。余談ですが。
読み進めるほどに、故人が魅力的な人間だったことが伝わってきた。
それだけに彼の死という事実が切なくなる。

コーヒーがキーワードとして散りばめられている話なので
コーヒー関係で何かトリックがあるだろうと思ってはいたのですが、
オチは読めなかった。
ラスト一行で「うわあ。。。」となった。
何このやるせない話。
このあとの主人公の気持ちを思うと、どうにもやりきれない。

良質のミステリでした。
おすすめ。
久々に湊かなえさんの作品で面白い、と納得がいったな。
まあ、ところどころに腑に落ちない点はあるのですが眼をつぶります。
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出産を巡る女性の実状を描く社会派ミステリー

親子3人で平和に暮らす栗原家に突然かかってきた一本の電話。
電話口の女の声は、「子どもを返してほしい」と告げた――。

***

まず、著者のことから述べると、
直木賞受賞の際のインタビューで至るところで
「私出産したんですけど。。。」と嬉しそうに受賞と関係ないことを
語っていたひとが書く話とは思えなかった。
50代ぐらいのベテラン女性作家が書くならまだしも
まだ子供も小さくて可愛い盛りで、新婚と言ってもおかしくない彼女が
こういう話を書くとどうしても上から目線感が拭えない。
だって不妊の夫婦の話だよ?
我が子を見て「あーこの子可愛いなあー私もしこの子が養子でも愛せるな。
あ、そういう話書いてみよー」とか考えてそうなある種の余裕みたいなものを
持って書いたような気がしてならない。そのことが不快だった。穿ち過ぎかも
知れないけれど。

そして肝心の内容は面白くない。
第二章、子供の産みの親が何故出産するに至ったかという話は
面白くなくもなかったけど、これまでの著者の心理描写力を思うと
陳腐にすら感じた。
何が言いたかったのかもよくわからないし、産みの親と育ての親の
両方の心理を中途半端に書き込んでるからどっちにも感情移入出来なかった。
「朝が来る」という陳腐なタイトルからだいたいの内容の察しはついたけど
ここまで薄っぺらいとは。

明らかにレベル落ちたよな、このひと。
女性作家で一番好きで著作は全部持っているぐらいだったけど
今後は買わずに図書館で借りて読むことにします。
この沼には底がない。



鈴木陽子というひとりの女の壮絶な物語。
涙、感動、驚き、どんな言葉も足りない。
貧困、ジエンダー、無縁社会、ブラック企業…、
見えざる棄民を抉る社会派小説として、保険金殺人のからくり、孤独死の謎…、
ラストまで息もつけぬ圧巻のミステリーとして、
平凡なひとりの女が、社会の暗部に足を踏み入れ生き抜く、凄まじい人生ドラマとして、
すべての読者を満足させる、究極のエンターテインメント!

***

今年最大のヒットと言っても過言じゃない。
非常に面白く読まさせてもらった。

まず構成がうまい。
これだけの長編は、よほど内容が面白くない限りは
読んでいてだれてくるけれど、本作はメリハリが聞いていて
(主人公陽子の過去パート、刑事の綾乃の捜査パート、被告人の法廷での
証言パート、というように)
飽きることなくどんどん読ませる。

ミステリだけなら1000冊以上は軽く読んでいて
大抵のミステリならオチは読めるという自負がある自分にすら
オチもトリックも読めなかった。
ミステリとして面白いだけじゃなくちゃんと人間ドラマとしての深みもある。
名作と言っていいと思う。
私以上に本を読んでいる知人も本作には太鼓判を押していた。

氏のデビュー作「ロスト・ケア」を読んで、すごいものを書くひとだなとは
思ったけど、二作目ではやくもこんな傑作を出してくるとは。
この先が非常に楽しみな作家さんです。

非常におすすめ。
是非一読、いや何度でも読んでほしい。読むたびに新しい発見が
あると思うから。
できることなど、なにもない。



「早う死にたか」
毎日のようにぼやく祖父の願いをかなえてあげようと、
ともに暮らす孫の健斗は、ある計画を思いつく。

日々の筋トレ、転職活動。
肉体も生活も再構築中の青年の心の内は、
衰えゆく生の隣で次第に変化して……。
閉塞感の中に可笑しみ漂う、新しい家族小説の誕生!

***

ニートですることがない自分と、要介護で何もできないおじいちゃん。
そんなふたりの間にマイナスの共通点を見つけて焦る主人公の気持ちは
よくわかった。
けれど、私事になるけど私の父も要介護(といってもまだ60代
なのですが)で介護施設に入っているけれど、本作のおじいちゃんより
全然ヤバく、自分のことがほとんど出来ない状態なので
「この話のおじいちゃん元気じゃないか」と思った。
自分でトイレ行けるし洗濯物もたためるし。
でも自分が情けなくて歳をとったせいで心が弱っていて
過剰に寂しがりになったり家族に甘えてくるところは共通点があって
著者よくわかってるなと思わされた。
こう言っちゃなんだけど老人の同じ話を何度もするところとか
苛つくポイントをよく押さえていてうんうん、わかるわかると同調した。
主人公の恋人の亜美は「だからといって若者が素晴らしいかというと
そんなことないんだよ」というガジェットとして使われていてそれはうまいと思うけど
途中でフェードアウトして「で、結局彼女どうなったの?」と
尻切れトンボな感じ。まあ別れたんだろうけど。
主人公の筋トレは何となく中途半端な感じだった。
おじいちゃんに出来ないことをやる、と言うならジムぐらい通わないと。
。。。ってそこまでやるとこの話の場合逆にリアリティがなくなるってことは
一応わかるんだけど、なんかね。
ラストの風呂場でのおじいちゃんのひと言には打ちのめされた。
結局人間はどんなに精神的につらくても本能には勝てないんだな、と。
おじいちゃんのこのひと言が書きたいがための物語だったんだんだなと
思わされた。

まあでも比べちゃいけないけど、介護小説ならモブノリオ氏の
「介護入門」の方が圧巻だったな。
最近の羽田圭介氏は、前作「メタモルフォシス」もそうだけど
終わり方が中途半端な作品が多くて本作も例に漏れずだったから、
その点キャリアは違っても芥川賞を同時受賞した又吉直樹さんのほうが
作品としては上だったと思う。

あまりガツンとくる作品ではなかったというのが実際のところです。
介護に携わっていないひとが読んでも共感は出来ないんじゃないかな。


過去1年間に発表されたすべての短編推理小説の中から、
日本推理作家協会が選び抜いた作品を収録。
新鋭からベテランまでキャリアは関係なく、
とにかく面白くて優れた短編ばかりを集めました。
巻末には福井健太氏による「推理小説・二〇一四年」に加え、
推理小説関係の受賞作リストを掲載。
ミステリーファンのみならず、入門書にもぴったりな、
究極のミステリー・アンソロジー決定版。

◆収録作品◆

 許されようとは思いません/芦沢央
 散る花、咲く花/歌野晶午
 座敷童と兎と亀と/加納朋子
 死は朝、羽ばたく/下村敦史
 自作自演のミルフィーユ/白河三兎
 雨上がりに傘を差すように/瀬那和章
 カレーの女神様/葉真中顕
 ゆるキャラはなぜ殺される/東川篤哉
 十年目のバレンタインデー/東野圭吾
 ドールズ密室ハウス/堀燐太郎
 不可触/両角長彦
 ゴブリンシャークの目/若竹七海

***

◆許されようとは思いません◆

本編を読んで「村八分」の本当の意味を初めて知った。
極めて短い物語だけど、深みがあってさすがうまいなのひと言。
彼氏にプロポーズしてほしいことをありがちに遠まわしじゃなく
直球で言う彼女にも好感を持った。
 
◆散る花、咲く花◆

辰雄の腕の傷の理由には速攻気付いた。これでミスリードを
狙ってるんだとしたらちょっと読者をナメすぎ。
あとラスト、花がそんなにあるはずないだろって感じ。
そして主人公気持ちの切り替え早すぎ。
美由紀も本当に旦那が好きで辰雄の面倒見てたのかどうか
怪しいし。
叙述トリックには気付かなかった。この著者に叙述トリック書かせたら
うまいな。
でも最後の数行、何か物語というよりはエッセイみたいで
こんな直球じゃなかくあくまで物語の中に溶かす形で
言いたいことを言ってほしいと思った。
 
◆座敷童と兎と亀と◆

いくらなんでも無理があるんじゃ。。。と思った。
こういう脳機能障害をモチーフにするならもうちょっとうまい見せ方が
あるんじゃないかと。
あとおばさんが主人公だからってだけじゃなく文章がおばんくさいのが
どうにも気になった。
あまり面白いとは思えなかったな。
 
◆死は朝、羽ばたく◆

死刑制度の是非をこういう短編でも深く問うことが出来るんだなと感心。
主人公の正体にも最後まで気付かなかった。うまい。
この著者の乱歩賞デビュー作は未読だけど読んでみたくなった。
面白い。
 
◆自作自演のミルフィーユ◆

ここまでオチが簡単に見えてしまうミステリも珍しいんじゃないかってぐらい
即真実に気付いた。ありがちにもほどがある。
この著者は好きな作家さんだけど本編はと訊かれると唸らざるを得ない。
「プールの底に沈む」と「私を知らないで」はよかったんだけどなー。
長編向きの作家さんなのかも。
 
◆雨上がりに傘を差すように◆

これはカテゴリ的にミステリに入るのか?
正直ミステリじゃないような。。。
でもラストにはちょっと涙出そうになった。
じいさんが若い子に最後にメッセージを送るっていうのはありがちだけど
どうもこういうのって泣かされるんだよな。
普通にいい話だった。
 
◆カレーの女神様◆

長編ではあんなにシリアスな話を書くひとが
こんなはっちゃけた物語も書くんだとびっくり。
あまりの超展開ぶりに驚きを通り越して笑いが出た。
ショートショートにありそうな話だったな。
ちなみに余談ですがいま同著者の「絶叫」を読んでいるのですが
この短編を思い出して真面目に読めなくなりそう笑
 
◆ゆるキャラはなぜ殺される◆

この著者苦手なんだよなー。
読者を笑わせよう笑わせようとしてるのが伝わって来て
逆に寒いし。作風が軽すぎるのも性に合わない。
ところでラスト、もしかして犯人はあのひとだったのか。。。?
そして動機はやっぱり。。。
まあご想像におまかせしますってところなんだろうけど。
あんまり面白くなかった。
 
◆十年目のバレンタインデー◆

非常に短い物語だけど、さすが東野氏、
読みやすいし流れるように話が進むので非常に面白く読める。
ありがちな話だけどラストの大掛かりっぷりに東野節を感じた。
ヒロインかっこいい。

◆ドールズ密室ハウス◆

短編に薀蓄を詰め込むとうざくなる典型。
薀蓄だらけでしかもそれが興味を持てる書き方をしていない、
物語に溶け込んでいないので読んでいて苦痛だった。
トリックも殺人動機もありがちで二時間ドラマ以下だし。
時系列もわかりにくく書かれているので混乱する。
更に言うなら登場人物のネーミングセンスが古い。
何だよピーカンて。シンモンて。シュガリィソルトに至ってはもう。

◆不可触◆

登場人物の「少年」かっこいい。
トリックはありがちだけどあの人物の真意までは見抜けなくて驚いた。
ラストは苦いです。
ちなみにこの著者のデビュー作「ラガド」が好きでひとに勧めると
パラパラ中身を見たあと「。。。いい」と返されるのですが
面白いから興味があるひとは是非。

◆ゴブリンシャークの目◆

主人公、本気で捜査しろよ!と言いたくなるぐらい
ダラダラと捜査が進む。
敢えてシリアスにならないように書いているのかもしれないけれど
起伏に乏しい、盛り上がりに欠ける物語にしか感じられなかった。
やっぱり小説には起承転結がないと。
地球最後の日になったら何をする?
 


天文学者サラ・ディライト・ローウェル博士は、自分の住む孤島で毎年、
天体観測の集いを開いていた。ネット上の天文フォーラムで参加者を募り、
招待される客は毎年、ほぼ異なる顔ぶれになるという。
それほど天文には興味はないものの、家庭訪問医の加藤盤も
参加の申し込みをしたところ、凄まじい倍率をくぐり抜け招待客のひとりとなる。
この天体観測の集いへの応募が毎回凄まじい倍率になるのには、ある理由があった。
孤島に上陸した招待客たちのあいだに静かな緊張が走るなか、滞在三日目、
ひとりが死体となって海に浮かぶ。犯人は、この六人のなかにいる――。
奇蹟の島で起きた殺人事件を、俊英が満を持して描く快作長編推理!

***

所謂クローズド・サークルもの。
警察の手の届かない場所での殺人、犯人は?的な物語です。

最初は文体の軽さが気になって(「~じゃね?」とか普通に出てくるし)
何これとか思っていたのですが、著者ラノベ出身のひとなんですね。納得。
ならば内容もラノベなのかといえば、これがなかなかにしっかりした
本格ミステリ。
ここ最近読んだクローズド・サークルものでは一番楽しませてもらいました。
ラストの壮大などんでん返しにもおおっと思わされたし。
登場人物の名前はちょっとふざけてるけどそれも軽いお遊びってことで。

本格ミステリファンのみならず、これから本格ミステリを読んでみたいなと
思っているひとにもおすすめの一作です。

ちなみに余談ですが「地球最後の日」がもし来るとすれば、
私がやることは主人公と同じだな。
だってどんな愛情だって、伝えられないこと以上の不幸はないでしょう?



俺は君を食べるし、食べたし、今も食べてるよ――。
魔に立ち向かい、往還する愛と祈り!
友達の部屋に現れた黒い影。
屋根裏に広がる闇の穴。
正体不明の真っ暗坊主。
そして私は、存在しない存在。“魔” に立ち向かうあなたを、
ずっと見つめていることしかできない。
最愛の人がこんなに近くにいたことに気づいたのは、
すべてが無くなるほんの一瞬前だった……。
集大成にして新たな幕開けを告げる舞城史上最強長篇!

***

舞城氏は大好きな作家さんですが、今回はパンチがなかったような。。。
読み終えたあと何も心に残らない。
何だか表現が中途半端な気がした。
何度も芥川賞候補になっている作家さんですが、本作での
ノミネート・受賞は厳しいと言わざるを得ない。
舞城氏らしくなく平凡なんだもの。
会話のリアルさ、小気味よさも、同著者の「キミトピア」収録の
「やさしナリン」ほどではないし、
作品自体の面白さも「阿修羅ガール」には遠く及ばない。
正直「読んだ時間を返してほしい」とさえ思ってしまった。
Amazonなんかのレビューを見ると高評価のようですが、
ステマじゃないの?と勘ぐる始末。

あまりおすすめしません。
何だかほんと、最近好きな作家さんがどんどんつまらなくなっていくなあ。。。
本作に出てくる「はらわた袋」よりそっちのほうが
私にとってはホラーだよ。
「これが、人間やで」



お笑い芸人二人。
奇想の天才である一方で人間味溢れる神谷、彼を師と慕う後輩徳永。
笑いの真髄について議論しながら、それぞれの道を歩んでいる。
神谷は徳永に「俺の伝記を書け」と命令した。
彼らの人生はどう変転していくのか。
人間存在の根本を見つめた真摯な筆致が感動を呼ぶ!
「文學界」を史上初の大増刷に導いた話題作。

***

正直初めはお笑い芸人としての又吉さんには興味はなくて、
ただ私が敬愛する作家との巻末対談が読みたいがために
又吉さんの書評エッセイ「第2図書係補佐」を手にとったのが
彼に興味を持ったきっかけ。

本作掲載誌は手に入れていたものの、ずっとそのまま放置していたけれど
今回の芥川賞受賞を受けて一晩で読んだ。

生粋の純文作家さんと比べると文章は拙い。
表現も、同じ表現が何度も出てきたりとギリギリプロレベルといった感じ。
けれど読者に伝えるべき言葉を正確に選んで伝える力を持っていると感じた。
純文学は娯楽小説と違って著者本人の感性・センスがすべてだけれど、
又吉さんにはそれが備わっているなと強く思った。

「普通のひとが普通のことを言うのが怖い」
「想像力は時に自分への暴力になる」
といった強く共感出来る部分もあれば、
「こう来るだろうな」と思った部分が「えっそう来るの? 主人公は
ここでそういう風に感じちゃうんだ?!」と驚かされる部分もあり、
またさすが会話部分には芸人としてのセンスが活きており、
最後まで楽しく読ませてもらった。

また、又吉さんは他人に対する視線が優しい。
すごく真面目でひとを肯定していて小難しいことばっかり考えていつつも
温かいひとなんだろうなと本作を読んでいて伝わってきた。
またとても謙虚で志が高いひとなんだろうなということも。

主人公が敬愛する神谷は、商業としてお笑いをすることで
大きな逸脱が出来ず様々なしがらみに縛られている「理性」としての主人公が
惹かれる「本能」でのみ生きる存在。
売れる芸術家というのはある程度の常識を持ち合わせていなければ
いけないけれど(かのモーツァルトやベートーヴェンですら貴族に媚びて
当時で言う売れ筋の曲を多数書いていたぐらいだし)、
神谷はその常識がない。よってお笑い界で生きていけない。
けれどそれこそが主人公の憧れるところであり、本来ならば見倣いたい
生き方なんだろう。
私は常々、常識という柱にゴムを繋いで自分に巻きつけて、いかに
常識を保ったままゴムの抵抗に抗って遠くまで行けるか、逸脱したものを書けるか、
ということを念頭に置いてきたけれど、神谷はハナから身体にゴムを着けていない。
どこまででもひとりで行ってしまう。
天才というものがこういう人間のことを言うなら、天才って
なんて報われない存在なんだろうと思う。

神谷の蠅川柳に主人公が恐怖を感じるシーンとか
ラストのしょぼい花火には爆笑しつつも感動も覚えてしまった。
男性作家が綺麗に書きすぎる「女性」も、本作に出てくる女性は
非常に魅力的に描かれていて彼女との別れのシーンではこちらまで
切なくなってしまった。それほどに魅力的な女性だった。
主人公と一緒に彼女の幸せを願わずにはいられなかった。

今回の芥川賞受賞は賛否両論あるようだけど、私は本作の受賞に
納得がいった。
本作は又吉さんのフィールドであるお笑い界が舞台だけれど、
お笑い界を離れた世界を二作目で見せてくれるならその日が待ち遠しい。

非常におすすめです。
改めて、又吉さん、芥川賞受賞おめでとうございます。
大丈夫。



ここにヒーローはいない。さあ、君の出番だ。
奥さんに愛想を尽かされたサラリーマン、
他力本願で恋をしようとする青年、
元いじめっこへの復讐を企てるOL……。
情けないけど、愛おしい。
そんな登場人物たちが紡ぎ出す、数々のサプライズ! !
伊坂作品ならではの、伏線と驚きに満ちたエンタテイメント小説!

★収録作品★

 アイネクライネ
 ライトヘビー
 ドクメンタ
 ルックスライク
 メイクアップ
 ナハトムジーク

***

さすが伊坂氏だなあ。。。
読んでよかった。読了後ひとり部屋で本作に拍手を贈った。
伊坂氏は、涙が流れるような感動じゃなく「そう来たか!」と
意表をつかれ思わず背筋がぞくっとくるような爽快な感動をくれるから
好きだ。
こんなクソみたいな人間が跋扈する世界に生きていて、それでも
人間を肯定する優しさ、温かさも心地いい。
だんだん好きじゃなくなっていって心が離れてしまった作家なんて
いくらでもいるけど、このひとの作品は私が小説家を志すことを決めた
初期のころからずっと好きです。

ただひとつ難を言うなら、私は斎藤和義があまり好きじゃないので、
それが作中に絡んできたり彼のことがあとがきで言及されているのが
微妙だった。

それでも名作です。
「ゴールデンスランバー」みたいな大作感はないけど、
絶妙な伊坂節を味わいたいひとは、是非。
彼らは時に怪物になる。



片田舎の小学校に、東京から美しい転校生・エリカがやってきた。
エリカは、クラスの“女王"として君臨していたマキの座を脅かすようになり、
クラスメイトたちを巻き込んで、教室内で激しい権力闘争を引き起こす。
スクール・カーストのパワーバランスは崩れ、物語は背筋も凍る、驚愕の展開に――。
伏線が張り巡らされた、少女たちの残酷で切実な学園ミステリー。

***

小学生の塾講師をやっている身として、
「今後子供と接するのが怖くなったらどうしょう。。。」と
ある意味期待して読んでいたのですが。。。
第二部に入った瞬間、
「あ、オチ読めた」。
帯付きのものを買ったのもまずかった。帯に書いてること、
ミステリ読みからしたらネタバレ必至だよ。
文章は非常にうまくてサクサク読めたけど、真相を知っても
驚きはまったくなく。「ああ、この手のミステリね。。。」といった感想しか
浮かばなかった。
著者(女性ふたりのコンビだそうです)もそれを見越して
あらゆるトリックを作中に仕掛けていて、さすがにそれを全部看破するのは
無理だったけど、トリックがてんこ盛りすぎてもうごちそうさま状態。
決して駄作ではないのですが、読むならミステリ初心者だけにしておいたほうが
いいかも。
本作を読むなら、
消失グラデーション/長沢樹
アヒルと鴨のコインロッカー/伊坂幸太郎
GOTH/乙一
を読んだほうがよっぽど楽しめます。

以下ネタバレ書評

オッサンは軽蔑していた小四当時の担任教師の真似をなんでしてるの?
ですます口調とかエンマ帳とか。反面教師にならないか普通?
あと警察をナメすぎ。沼なんかどんな偽装工作をしようが真っ先に探すだろ。
子供たち一人ひとりに事情聴取も細かくするだろうし、誰かしらがボロを
出すはず。
あと第一部と第二部でマキの性格が変わりすぎていて別人だとすぐにわかる。
テツがいないのも不自然だった。引っ越したっていうミスリードを狙っていた
みたいだけど、それなら第一部で伏線を張っておくべき。
このミス大賞受賞作で好きなものは今までないけど、
本作もなんだかなあ。。。という感じだった。
プロフィール
HN:
kovo
性別:
女性
自己紹介:
80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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