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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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味方をしてくれるのは、天ではなかった。



東京都藍出市で、幼稚園児の遺体が発見された。
被害者は死後に性的暴行を加えられていた。
事件のニュースを見た主婦・保奈美は、大切な娘は無事だろうか、と不安に陥る。
警察は懸命に捜査を続けるが、犯人は一向に捕まらない。
娘を守るため、母がとった行動とは。
『暗黒女子』の著者が放つ驚愕の長編ミステリー!

***

「聖母」という言葉の定義が本作に登場する母親のような人間を指すのなら、
私は同意しかねてしまう。
物語の見せ方はうまいと思ったけど、警察があまりに使えなかったり、ラストに
腑に落ちないものを感じたりと納得しづらい部分が多い。
真相を明かすのが唐突だったりと、ついて行きづらかったところも多々あった。

以下ネタバレ書評。

保奈美、本当に娘が可愛いなら、殺人なんかさせるなよ。
身体だけじゃなくて、殺人を二件も犯した自分の娘がこれから抱えることになる
十字架の重さを考えてやれ。
しかも自分が不妊治療に苦しんだからって、レイプされて身ごもった娘に
「産みなさい」ってそれこそ自分の価値観の押しつけだろ。
それに娘をレイプした男に再会したときのリアクションが薄すぎ。
「あいつはあのときの。。。!」ぐらい思えよ。
そしてレイプ犯の写真のアルバム、何で薫しか写ってないの?
幼女趣味でもなさそうだし、むしろ美人な真琴の写真のほうがありそうなもんだけど。
レイプ犯を自殺に見せかけて殺す、ってそう簡単にいくものでもないと思うし。
本作に散々登場する刑事ふたり、他殺だって気付きもしないで
「事件は解決しました。犯人は自殺しました」って。。。ふたりとも
有能そうに描かれてるのにそれはないだろ。
最後に、殺害された児童はレイプされた痕跡があったって描写があるけど、
保奈美どうやってそれをやったの? ディルドでも腰に装着したの?
不謹慎だけど想像すると何だか笑ってしまう。

著者の秋吉さんの著作は今後B級作品だと思って読むことにします。
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男子による女子ランキングなど、ヒエラルキーが形成された中学の教室で、
ひとり孤高を保つ少女がいた。
少女は容赦ない方法で、担任教師の行いを告発し、学校から追放する。
それは、ある長い闘いの序章だった――。
緻密な心理描写、胸を抉る衝撃の真実、祈りにも似た希望が立ち上るラスト。
圧倒的な熱量を孕んだ傑作長編!

***

中高生の心理を的確に、細密に書ける作家さんだと思う。
特に女性は読んでいて共感出来る部分も多いんじゃないかな。
読み始めたときは苦手な二人称だったのでちょっとうわっと思ったけど、
すぐに慣れて物語の中に没入することが出来た。
真相は中盤にいかないうちに誰でも気付けてしまうと思うけど、
終わり方はとても好き。
文章もこなれているので非常に読みやすいです。
私が中高生だったころはここまで露骨なスクールカーストはなかったけど、
自分はカーストの下位にいると思う子供がいたら、いや、自分は上位だと
思う子供にも、本作は読んでみてほしい。
大人になればカーストの枠なんて飛び越えて全然違う価値観になっていると
わかることが出来ると思うから。
もちろん大人にもおすすめです。
復讐が始まる。



今度こそ、絶対に生まれ変わってみせる。痩せてみせるわ。
たとえ「私」を殺してでも…。
華やかなダイエットコンテストに渦巻く謎と、深まる狂気を描く本格心理サスペンス。

***

「デブミス」とでも呼んだらいいのでしょうか。
デブとダイエットをテーマにしたミステリ。

結論から言うと、つまらなかった。
というかくどい。
著者は驚きに次ぐ驚きを狙っているのかも知れないけど、
「〇〇が実は△△だったんですよー」というミスリードが多すぎて
麻痺してしまい逆に驚きも湧かない。
あと、「このひとが実はこのひとだった」という展開があまりに多く
読んでいて混乱しかけた。
展開も唐突な部分が多いし、登場人物たちの心理はコロコロ変わるし。
だいたい何で主人公のひとりである菅見がそこまで恋人を愛しているのか
そこが描写されていないから、「何この男ひとりで盛り上がってんの」としか
思えないしラストに感動もない。
唯一「さすが女性作家だな」と納得出来たのはオチぐらいだろうか。

痩せることがどんなに苦しいことかがこれでもかと描写されていて
デブの描写も詳細でそこだけはちょっとだけ評価したいけど。

それにしても監禁されてからの菅見、トイレはどうしてたの?
そんなことどこにも書かれてなかったから物語にリアリティが
欠けていた。
外国の男性作家ならそのへんこれでもかと書くぞ。

何だかこの小説を読んでいて、安野モヨコの「脂肪と言う名の服を着て」という
漫画を思い出した。
デブの話ならあっちのほうが読んでいて面白かったな。

男は女の見た目は関係なく心だけ見て愛してくれる。
それは基本幻想です。


中学生の悠真は、莫大な資産を持つ大面グループの総帥・幸子に引き取られた。
7人の異母兄姉と5人の叔父・叔母との同居生活は平和に営まれたが、
幸子が死亡し、不可解な遺言状が見つかって状況は一変する。
遺産相続人13人の生死によって、遺産の取り分が増減するというのだ。
しかも早速、事件は起きた。
依頼を受けた俊一郎は死相を手掛かりに解決を目指すが、
次々と犠牲者が出てしまい――。
大好評シリーズ第5弾!!

***

なんだこれ。
素人の作品かと思ったわ。
魅力のない登場人物、伏線もなく突然明かされるしょぼい真実、
ラノベ以下、なんて表現も失礼などうでもいいストーリー展開。
三津田信三ってこんなレベル低いもの書くひとだったっけ?
黒術師とかいうのを出せば何でもありなのか?
どうやって被害者を殺害したのかも、どういう理由で殺害したのかも、
一切書かれておらず全部「黒術師にそそのかされたからです」って
これじゃ何でもありだろ。
シリーズものの第五弾をいきなり読んだせいだけじゃく、
主人公の探偵役に惹きつけられる要素が何もないし。
(本当に魅力的な探偵は、シリーズの途中から読んでもやっぱり魅力的。
御手洗然り、火村然り)

言葉は悪いがクソでした。
新年早々こんなもん読まされて不快になった。
途中でやめればよかった。
僕はもっと、変わりたい。



病院で目が覚めると、冴えないオタクだった僕の見た目は、
イケメンの姿に変わっていた。
そうだ、教室の机に入れられた手紙で呼び出され、
僕は誰かに崖から突き落とされたのだった……
助けに入ったイケメンと一緒に。
退院した僕は、元いたクラスに転校生として潜入した。
一体、誰が僕を殺したのか?
僕は、僕を殺したクラスメイト探しを始める――。
切なさと驚きに満ちたラストが待ち受ける、傑作長編ミステリー。

***

同著者の「暗黒女子」がなかなかのインパクトだったので、
期待して読み始めたのですが。。。
うーん、ちょっとベタすぎる。中高生のときに読んだら
もっと面白かったのかも知れないけど。
伏線は上手に張られていますが、読者をミスリードさせるためだけに張られた
安い伏線もその中にあったり、重要な布石だと思ったものが
実はそうではなかったり。。。
キャラもアニメっぽくて既視感があったり。
ラストは爽やかすぎて読んでいて痒くなってしまった。

文章はさくさく読めるしリーダビリティもなかなかあるので
一気読みだったけれど、薄っぺらい印象は拭えなかったな。

若い年齢層にはおすすめです。
大人が読むにはよく言えば眩しすぎる、悪く言えば幼なすぎる。

でもまあそれなりに楽しめました。
ここには何もない。



僕はどこだが分からないここにいる―修人。
全ての欲望から解放された、いや、見放された―千鶴。
人生とは結局、自分自身では左右しようのないもの―エリナ。
きっと、私がここから別の道を歩む事はないだろう―朱里。
他者と自分、世界と自分。絡まり合う、四者の思い。
思いがけない事故や事件。その一瞬で、ねじ曲がる。
平穏な日常が、約束された未来が。
混沌、葛藤、虚無、絶望。
四年ぶりの傑作長編小説。

***

私の中の二大「結婚して出産したらそのことしか書けなくなったひと」
というのが辻村深月さんとこの金原ひとみさんなのですが、
本作もご多分に漏れずヨーロッパに移住した苦労(著者はパリ在住です)と
子供のことばかり書かれていた。
でも金原さんは純文学作家で、私小説みたいなものでも許されるので
辻村さんよりはましかな。

とはいえ今更東日本大震災をテーマに小説を書かれても
時代遅れ感が半端ない。
というかそのテーマだって、中途半端に本筋に絡められているだけで
メインではないし。
何だかなという印象。

やっぱりこの著者のピークは10代~20代前半の、
おそらくは著者自身を投影したのであろうあまりに精神が不安定で
歪に一途な主人公が多かったころの作品だな。
「AMEBIC」とか「ハイドラ」とかすごい好きだったしな。
今は30も過ぎてすっかり落ち着いてしまった印象。

でも、文章がうまくなるにつれて、今まで持っていた独自の文体が
なくなって著者名を伏せられたら誰が書いたかわからなくなってしまう
作家が多い中で、彼女の言葉選びのいい意味でのバイオレンスさと
彼女ならではのセンスは失われていなくてそれだけが読んでいて
心地よかった。

決して明るい話ではないけれど、読んでいて自分の中の何かが
浄化されていくような、そんなカタルシスは少しあった。

アラサーのひとに特におすすめです。
さようなら。



娘の小学校受験が終わったら離婚する。そう約束した仮面夫婦の二人。
彼等に悲報が届いたのは、面接試験の予行演習の直前だった。
娘がプールで溺れた――。病院に駆けつけた二人を待っていたのは残酷な現実。
そして医師からは、思いもよらない選択を迫られる。
過酷な運命に苦悩する母親。その愛と狂気は成就するのか―。

***

こんな物語を自分が書いていいのか?
今も悩み続けています。

と東野氏は言っていますが、なるほど扱うには慎重さが必要なテーマ。

個人的な話をすると、うちの母はだいぶ前に死んでしまった愛犬の遺骨を
まだ部屋に飾っていて、正直それをとても不自然なことと思っているので、
本作の主人公のひとりである薫子には嫌悪感しか覚えなかった。
薫子の母親としての哀切を要所要所に散りばめてくれればまだ
切ない気持ちになれたのかも知れないし応援もしたくなっただろうけど、
ただのワガママババアにしか思えなかった。
ラストで「私は狂っていたと思う」みたいなことを薫子は言うのだけど、
そこは一応感動的なシーンのつもりで東野氏は書いたのだろうけど、
ひねくれた私は「そんな台詞ごときで綺麗にまとめたつもりでいるなよ」
と不満しか残らなかった。
薫子の娘との別れも都合よすぎ。実際脳死で身体だけ生き続けている
子供を持っていて、その介護をしている親が読んだら怒るんじゃないかと
思う。
そしてエピローグは三文小説並みの陳腐さ。そんな偶然、
いくらフィクションでもあるか、と脱力。

以下はちょっとネタバレになりますが、
娘の葬儀に薫子が出席しないのもどうかと思った。
娘の魂と別れを交わしたとはいえ、三年間も面倒を見た肉体が
空へと上っていくのを見届けたいと思うのも母親の本能のはず。
とにかく薫子には反感しか抱かなかった。

東野氏にはミステリを期待しているのに今回はミステリじゃなかったことも
残念。
それでも本作が良作だったら不満はなかったのだろうけど、
読んでいる間中イライラしか感じなかった。
東野氏が狙う「切なさ」は微塵も感じなかった。

あまりおすすめしません。
私の死は、他殺ですか?



2015年1月、大阪・中之島の小さなホテル“銀星ホテル”で
一人の男・梨田稔(69)が死んだ。警察は自殺による縊死と断定。
しかし梨田の自殺を納得しない人間がいた。
同ホテルを定宿にする女流作家・影浦浪子だ。
梨田は5年ほど、銀星ホテルのスイートに住み続け、
ホテルの支配人や従業員、常連客から愛され、しかも
2億円以上預金残高があった。
影浦は、その死の謎の解明をミステリ作家の有栖川有栖と
その友人の犯罪社会学者・火村英生に依頼。
が、調査は難航。梨田は身寄りがない上、来歴にかんする手がかりが
ほとんどなく人物像は闇の中で、その人生は
「鍵の掛かった」としか言いようがなかった。
生前の彼を知る者たちが認識していた梨田とは誰だったのか?
結局、自殺か他殺か。他殺なら誰が犯人なのか?
思いもしない悲劇的結末が関係者全員を待ち受けていた。
“火村英生シリーズ”13年ぶりの書き下ろし!
人間の謎を、人生の真実で射抜いた、傑作長編ミステリ。

***

御手洗潔は年月と共に歳を取るのに火村とアリスは2015年現在でも
34歳のままなのね。なんか違和感。

。。。ということはまあいいとして。
伏線が綺麗に散りばめられた、さすがベテランと言える一作だと思う。
ここまで被害者にスポットを当てたミステリも珍しいし。
でも、被害者の過去がわかっても特に響いてこないんだよなあ。
小奇麗に小さくまとまった感じで心をうつものがないというか。
火村がほとんど活躍してないのも物足りなさの一因。
火村も御手洗もそうだけど、初期のころばんばん活動してた名探偵って
何でシリーズの途中から安楽椅子探偵みたいになっちゃうんだろう。
ほとんど動かない。出番もない。ワトソン役ばっかり駆けずり回ってる。
最終章「真相」も、「えーそれだけのことでここまで?」と
納得いきづらいものがあった。

久々の火村シリーズということでかなり期待していたのですが。。。
駄作ではないけれど540Pもかけて読む必要があったのかと思わざるを得ない。
著者はどこまで火村の過去を隠したままこのシリーズを引っ張る気なんだ。

あまりお勧めしないかな。
本格ものならもっといいものがほかにたくさんあります、この著者には。
耐えがたい苦痛。



『その女アレックス』の刑事たちのデビュー作

連続殺人の捜査に駆り出されたヴェルーヴェン警部。
事件は異様な見立て殺人だと判明する…掟破りの大逆転が待つ鬼才のデビュー作。

***

苦手だった翻訳ものをこんなに面白く読めたのは、この著者だからこそ。
ここ数日は、寝る前に本作を読むことだけを楽しみに日々を過ごしていました。
読み終えてしまったのが残念なほど。

「その女アレックス」並にエンタメ性があるけれど、
構成力の妙はアレックスとは比較になりません。
物書きの端くれとして「こんな表現の仕方があったのか!」と
唸らされた。

刑事たちは皆個性的で魅力的、警察ものですが
日本人作家がするように無駄に警察機構についてだらだらと描写することがなく、
文章に無駄がない。
常に緊迫した状態の中、随所に入るユーモアがいい具合に肩の力を抜いてくれる。
犯人は最後まで読めず、伏線の回収も素晴らしく、ラストシーンのインパクトと
いったらない。
外国の有名な賞を四つとっている本作ですが、それも頷けると思った。
非常に面白かった。

おすすめです。
ちなみに「その女アレックス」の前作にあたるので、
こちらを先に読んでからアレックスを読むのがおすすめ。
そのほうが圧倒的に面白く読めます。

ちなみに先日著者、ルメートル氏のトーク会に行ってきたのですが、
とても気さくで楽しい方で、私の拙い英語にも笑顔で応えてくれました。
握られた手が温かかったな。



記念写真。宝物。
呼吸の仕方を間違えないように。



怪談には死者の“思い”が込められている。
人の喪失に寄り添ってきた文学に、辻村深月が心血を注ぎ込んだ。
失った“大切な誰か”を思い出して読んでほしいと願いながら。
辻村深月の新境地!絆を感じる傑作短篇集。

★収録作品★

 十円参り
 手紙の主
 丘の上
 殺したもの
 スイッチ
 私の町の占い師
 やみあかご
 だまだまマーク
 マルとバツ
 ナマハゲと私
 タイムリミット
 噂地図
 七つのカップ

***

ふちなしのかがみに続く、辻村さんのホラー短編集。
最近は辻村さんの著作に幻滅を感じる一方だったけれど、
本作はなかなか楽しめたと思う。
ホラーにしてはオチらしきオチのない物語が多いけれど、
(というか読者の想像に委ねるものが多いけれど)
それがかえって怖さを増す。
個人的に怖かったのは「手紙の主」「丘の上」「やみあかご」。
「だまだまマーク」と「ナマハゲと私」はよくある話。
それにしても、このひとは学生を書かせたら天下一品なのに
主婦を主人公にした話をたくさん書くようになっちゃったなあ。
思春期の人間の心の機微を描くのがとても上手な作家さんなのに。
やっぱり自分とダブらせてるんだろうけど、ちょっと残念。

でもまあおすすめです。
プロフィール
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kovo
性別:
女性
自己紹介:
80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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