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読書&執筆ホリックの書評&書き物ブログ。
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答えを。



親父が死んだ。自殺だった。俺は安藤直樹。親父が残したパソコンのなかにいるのは裕子。
いや違う、あれは単なるプログラムにすぎない。でもプログラムに意識が宿ったのならば…。
いったい彼女は何者なんだ!
徹底した方法意識に貫かれたテクストが読者を挑発する、第五回メフィスト賞に輝くデビュー作。

***

著者が19歳(当時)と若いためか、
「自分はこんなことを知ってるんだぞ」みたいな
音楽や絵画や心理学の(誰でも知ってるような)講釈が頻発したり
読んでるこっちが恥ずかしくなるような中二病的表現や台詞が炸裂したりと
とかく初めは読みづらいのですが(文章も下手ではないけどややくどいし)、
読んでるうちにハマりだし中盤から一気に読書スピードが加速。
クライマックスでは快感に似た戦慄に震え、
ラスト一行に心地いい寒気を覚えながら楽しく読み終えることができた。

発表から10年経った今読んでもそこまで違和感のないパソコン描写は
なかなかのもの。
更に本書は本格推理に対するアンチテーゼでもあり、
一時期本格ものばかり読んでいた身としては
「確かに被害者・加害者サイドからすると名探偵って微妙だよなあ。。。」と
改めて思い知らされてしまった。
御手洗潔が人気あるのは名探偵にしちゃ人情があるからなんだよなー。。。

ページ数はそれなりですがおすすめ。
まさにメフィスト賞の真骨頂ともいえる物語です。

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ただ、閉じられたドアを見つめている。



模型交換会会場の公会堂でモデル女性の死体が発見された。
死体の首は切断されており、発見された部屋は密室状態。
同じ密室内で昏倒していた大学院生・寺林高司に嫌疑がかけられたが、
彼は同じ頃にM工業大で起こった女子大学院生密室殺人の容疑者でもあった。
複雑に絡まった謎に犀川・西之園師弟が挑む。

***

「人や自分が使った皿は基本洗わない主義」などと平然と抜かす萌絵とか
ただ屁理屈たれてばっかりでシリーズ序盤のキレがない犀川とか
身近にいたら絶対お近づきにはなりたくない俺女のラヴちゃんとか
今回のメインキャラにはあまりに魅力がなさすぎた(註:金子くん除く)。
トリックもストーリーもここまでのページ(文庫本にして700P)を割いて書くほど
大層なもんじゃ正直ないし。

これを今後読む予定の人に言っておきたいのはただひと言、
プロローグをしっかり読み込むように、ということです。
流し読みしちゃ駄目、絶対。
そしたらまだあとで腹が立ちません。

それにしても一体いつから、犀川と萌絵は恋人同士になったの?
互いにちゃんとした了承のないまま、本作でいつの間にかそういうことになってたんだけど。
「言葉がなくても通じ合える」みたいな、所謂そういうことなんでしょうか?
それが本作最大のミステリィ(←著者風に)。
自分は、今、どちら側に居る――?



満月の蒼白い光が、皓々と地面に降り注いでいる――

右眼に藍玉(アクアマリン)のような淡い水色、
左眼に紫水晶(アメジスト)のような濃い紫色の瞳をもつ
石細工屋店主・風桜青紫(かざくらせいし)と、彼を慕う女子大生・鴇冬静流(ときとうしずる)。
先生に殺されたいと願う17歳の霧嶋悠璃。
境界線(ボーダー)を彷徨う人々と、頭部を切断された犬の首を縫い付けられた屍体。
異常と正常。欲望と退屈。絶望と救い。
根源を射つメフィスト賞受賞作!!

***

真相が全部著者の描写によって先に明かされたあとで
推理を披露してみせる探偵って何か意味あるんだろうか。。。

という点以外は楽しめました。
イロモノ揃い(大好きですが)のメフィスト賞受賞作にしては
まともなほう&文章はうまいし。

ただ、二つ出てくる殺人の動機はどちらも陳腐&唐突。
この物語を読んで犯人当てられる人がいたら正直超能力者だと思う。
犯人割り出すための伏線ほとんどといっていいほどないし。

あと作中に出てくる犯人につけられる二つ名(コードネーム)、正直ダサいです。
〝インビジブルレフトハンドハンター〟〝ルナティックケルベロス〟って。。。
昭和時代のRPGの敵モンスターの名前か。
やたらルビが多いのもやや鬱陶しい(同賞出身の古野まほろ氏には到底敵いませんが)。

とまあいろいろ書いたけど、そんなに長い物語でもないし結構面白く読めたかな。

今、どこの海にいますか。



藤子・F・不二雄を「先生」と呼び、その作品を愛する父が失踪して5年。
高校生の理帆子は、夏の図書館で「写真を撮らせてほしい」と言う一人の青年に出会う。
戸惑いつつも、他とは違う内面を見せていく理帆子。そして同じ頃に始まった不思議な警告。
皆が愛する素敵な“道具”が私たちを照らすとき――。

***

人間が普段隠してる感情をもうあからさまに剥き出しに描き出す作家さんなので
読んでいて結構辛かった。
しかも(自分語りは好きじゃないけど)今回の主人公が自分と性格被りすぎていて
その元彼も自分が過去に好きだった人と(あそこまでひどくはないけど)キャラ被りすぎで
「あまりに人間として最悪なのでむしろこいつがどこまで堕ちるのか観察してたい」
と主人公が元彼に抱く気持ちに共感してしまってそんな自分が何か嫌だった。

物語としては、私がこの作家さんが大好きで全作何度も読み返しているので
物語の創作パターンがある程度読めてしまっているのでオチもすぐわかってしまい
感動すべきクライマックスも「ああやっぱりね」としか思えなかったけど、
それでも素敵な話でした。
中盤の主人公の母親の「掃除してくれたのにごめんね」と荷解きのくだりにはやられた。
あれは卑怯だろ誰だって泣くだろ。

ちなみに主人公はドラえもんの映画の中で〝海底鬼岩城〟が一番好きと言ってましたが
私は〝宇宙小戦争〟が一番好きです。
大人になって改めて見返して、武田鉄矢そっくりの宇宙人が出てきたときには爆笑しましたが。

余談ですが小学生のとき、どっかの僧侶みたいに貯めた5円と50円をヒモに通して首から提げて
本屋にドラえもんのひみつ道具百科買いに行って店のおばさんに
「がんばって貯めたの?」と微笑まれたことはこっ恥ずかしくもいい思い出です。
大学時代〝自分の尊敬する人〝を英語でレポート書いて一人ずつ皆の前で発表することに
なったとき、〝藤子不二雄先生の生涯〟みたいな本をわざわざ買って彼の人生を熱く語ったのも
振り返れば懐かしい。

って私自分で思ってるより藤子不二雄さん好きだな。

おすすめです。



おまけ:
ドビュッシー〝沈める寺〟。


  クラシック版もすごく好き。
また、いずれ、どこかで。



T大学大学院生の簑沢杜萌は、夏休みに帰省した実家で仮面の誘拐者に捕らえられた。
杜萌も別の場所に拉致されていた家族も無事だったが、
実家にいたはずの兄だけが、どこかへ消えてしまった。
眩い光、朦朧とする意識、夏の日に起こった事件に隠された過去とは?
『幻惑の死と使途』と同時期に起った事件を描く。

***

前作〝幻惑の死と使途〟と対を成す作品。
前者が奇数章のみで構成されていたのに対し、本作は偶数章のみ。
二冊用意して交互に読んでいったりするのも結構面白いかも。
。。。というかそうしたほうがいいかも。
本作で主人公・犀川の妹が言っているとおり、この物語の事件は
「もやもやしてて地味でつまらない」ので(こんな台詞を言わせるあたり、
森氏も書いていて自覚があったんだろうか?)。
しかも読み終えてもどうも何かが釈然とせず、
「行間を読めってことか? でも読み取らなきゃいけない行間が多すぎ、ていうかむしろ
その読み取るべき行間のほうが本文より多いんだけど」
状態。
今までのS&Mシリーズで一番楽しめなかった(そもそも番外編的作品なので
二人の登場頻度低いけど)。

ちなみに序盤の杜萌の一人称の中に、ごくさり気なく決定的な伏線が張られているので
真相を自分で暴きたい人はそこを見逃さないようにしましょう(見落とす確率かなり大ですが。
いや、それよりもあの伏線だけで真相がわかったら超能力者だな)。

最後に、犀川の「名前が逆」発言は絶対アンフェアだったと思うな。
本来なら「立場」「役割」が逆、と表現すべきだと思うんだけど。

ミステリとしてはかなりアレだけど、人間ドラマの部分だけは割りと面白かったです。
だから、心を壊してしまいたかった。

 

「週に三度、他の男とセックスすることを習慣にして」いる主婦・麻美。
彼女の不倫相手が、次々と身体全体に瘤のようなものを作って原因不明の死を遂げる。
彼女自身の肉体にも異変が起こる。
女同士の憎悪や嫉妬、母娘で繰り返される愛憎劇。
一見幸せな主婦の誰にも言えない秘密とは…。

***

これがデビュー作!?と驚くほどの筆力。
もしまだ〝ホラーサスペンス大賞〟があったら間違いなく大賞獲ってるだろうと思う。

ただ、文章力に比べて若干構成力がない。
ひとつひとつがぼやけてしまうようなエピソードの並びに
後出しジャンケン的に出てくる数々の真相、
ラストを含めあちこちにあるかなり無理のある展開、
挙げ句内容を捻り過ぎてどんでん返しを通し越してむしろ鬱陶しくなってしまっている。

あと、この作家さんは貴志祐介氏にかなり影響を受けている気が(少なくとも本作に於いては)。
あと貫井徳郎氏の某作品にも形態が少し似てたな。

まあまあ面白く読めたけど、すべてを消化し切れていない感のある小説なので(&グロいので)
深く考えずにミステリを楽しめる人以外には正直おすすめしません。
あと、ものを食べながら読むのは絶対やめたほうが吉。

blueb.jpg









とか警告しつつも嫌がらせ画像
なんてね



雪野原に立つ民家で、初めて会った者同士が一夜を過ごし、翌朝、死体発見
(『六つの玉』)。
姪に話して聞かせる、十五年前の「大学生・卒業研究チーム」爆死事件の真相
(『五つのプレゼント』)。
大学の補講中、マジック好きな外国人教授が死んだ、ESPカード殺人事件
(『四枚のカード』)。
中味を間違えた手紙と残された留守電が、エリート会社員殺害の真相を暴く
(『三通の手紙』)。
特注の掛軸は、凝ったイタズラが大好きな、地方の名士がが殺された謎を知っている
(『二枚舌の掛軸』)。
決定的な証拠がありありとそこに存在した、ベテラン作家邸殺人事件
(『一巻の終わり』)。

見た目は「太ったチャップリン」!? 林茶父が、今日もどこかで事件解決。

***

まずは〝五つのプレゼント〟から突っ込む。
ラストで探偵の姪が「自分の都合ばかりを優先して相手の迷惑を顧みない」と
某人物三人のことを中傷しているけど、言う対象間違ってない。。。?
一番迷惑なのはあのカップルだと思うんだけど。。。
しかも殺人犯と何の悪気もない(そして別にしつこくもしてない)友人らを悪く言うって一体。
クサれカップルが馬鹿すぎて不快&姪の感性がズレまくってて読後の印象最悪。

続いて〝二枚舌の掛軸〟。
漫画ならともかく文章だけでこのトリックを理解しろというのは拷問に等しい。
よほど神経が研ぎ澄まされてないか古美術に詳しい人じゃなきゃ
書かれていることはおそらく即座にはイメージしづらいんじゃないかと思う。
実際参照図もやたら細かく描かれてたし。
そこまでしなきゃいけないならいっそ誰かに頼んでコミカライズしてください。

〝一巻の終わり〟。
ラスト一ページには「おおっ」と思わされた。

全体的に及第点な印象。
乾氏ならもっと斬新な物語が書けそうなものだけどな。出版社からの縛りでもあったのかな。
探偵役が凡庸で魅力に欠けるのも残念なところ(手品を使って(もしくは手品の応用から何か
閃いて)事件解決! とかなら面白いのに手品師って設定がほとんど活かされてないし)。
唯一「なるほど」と思わされたのは、いろんな場所を駆け巡って人生経験豊かな人間のほうが
頭でっかちの安楽椅子探偵たちより本番(事件の謎解き)に強い、って論理かな。
(実際たいていの推理小説は、ミス研とか医者とか博士とかひきこもりとか多いしな)

どうでもいいけど表紙の主人公、どう見ても50代のオッサンにしか見えないんだけど。。。
(本当は30代半ば)
そのなんの変哲もない一瞬に。



2033年、人類で初めて火星に降り立った宇宙飛行士・佐野明日人。
しかし、宇宙船「DAWN」の中ではある事件が起きていた。
世界的英雄となった明日人を巻き込む人類史を揺るがす秘密とは?

***

群像劇?
エスピオナージ?
恋愛モノ?
人間ドラマ?
物語としてどうこうして以前に、ジャンルとしての着地点が見えない物語だった。
あらゆる要素のごった煮で、どれも味が中途半端。
登場人物の台詞は政治家たちを抜かしても演説&説明口調ばっかりで
読んでてうんざり気味になったし。
はっとするエピソードがあるかと思えば肝心な部分は昼ドラみたいにチープだったりと
物語のクオリティにムラがあるのも何だかな。。。
そもそも物語の舞台がアメリカで登場人物もほとんどアメリカ人だから
どうにも感情移入しづらい(翻訳ものをよく読む人にはいいのかもしれないけど)。
著者の言いたいことを掴めないまま、気づけば読み終えてしまっていた。

前作〝決壊〟に比べて、三人称の文章は格段にうまくなっててびっくり(と、
芥川賞作家に向かってこんなこと言うのも偉そうだけど、
純文学から僅かに娯楽小説にシフトした上記作の三人称文体は
冗談抜きでひどかったので。。。)。

何だろう、敢えて読み取れたとすれば、陳腐だけど
〝時代が移り変わっても人間の愚かさは変わらないけど、
同時にいい部分も変わらないよ〟
そういうことかな、あのラストシーンを読んだ限りでは。

ラストシーンといえば、最後に主人公夫婦がどういう言葉を交わしたのか、
読者は普通に想像できるので敢えて書く必要はなかったと思う。蛇足。

本作は個人的には著者の平野氏が宇宙飛行士と近未来という
架空の身体と時代を借りて描いた自伝のようにも思えるんだけどどうかな。

それにしても、本書付属のしおりに書いてあった〝火星がテーマの映画一覧〟は
面白かったので下に列記しておきます。

Flash Gordon 1936
Rocketship X-M 1950
Invaders from Mars 1953
War of The Worlds 1953
Conquest of Space 1955
The Heavens Call 1959
Robinson Clusoe on Mars 1964
On The Comet 1970
MAC and Me 1988
Total Recall 1990
Mars Attacks! 1996
Mission to Mars 2000
Red Planet 2000
Space Crawler 2015
The Dream of Chameleon 2017
Empire of One billion years 2020
The message Delivered Wrongly 2020
Blue and Red 2021
Lost in Heaven 2022
Rewritten Dictionaly 2024
Lovers of a vacuum 2025
Mars Explosion 2025
Planet of Love 2034
A Feast of Mars 2036
MISSION 3 2028
War of The WorldsⅡ 2028
Odyssey 2033

ていうか冒頭で主人公が使っていたモニターがもう現実に開発段階というのに驚き。
私の自分かわいさには果てがない。



四年近くもの間、二段ベッドが置かれた六畳間ひとつの古く陰気な借家で同居している
三十歳間近の“兄”こと英則と、“妹”、奈々瀬。
奈々瀬は上下灰色のスェットにだて眼鏡姿で家に籠もり
「あの日」から笑顔を見せなくなった英則のために日々“笑い”のネタを考えている。
保健所で犬の殺処分の仕事をしている英則は一年前、
天井板の一角に隙間を発見したのをきっかけに、帰宅後、屋根裏に潜り込んでは
“妹”を覗く、という行為を繰り返しているのだった……。

***

〝大勢の人をちょっとずつ不快にしてもされた側はいずれ忘れる、
けれど一人の人間を思い切り怒らせたら半永久的に恨まれる〟
こんな簡単な真理さえわからずに人に媚びまくり自分を作りまくり一人勝手に疲れている、
それが本作の主人公。
その癖無意識にか半ば計算か結構小賢しいところもあり、
現実にいたら殴りたくなること請け合いなのに読んでいるぶんにはなぜか愛しい。
それもまた本作の主人公。

人間の複雑な心理をどうしてこうも明快かつあっけらかんと書けてしまうのか、
本谷さんの作品を読むたびに感銘を受けつつ不思議でならない。

この物語に登場する〝きょうだい〟はひと言で言ってしまえば単なる共依存の関係
なんだろうけど、互いの相手の縛り方が普通の共依存者(て表現も何か変だけど)に比べて
個性的に歪んでいて面白い。

さーデートだ買い物映画遊園地ー
クリスマスには二人でディナー年が明けたら初詣ー
誕生日にはプレゼント交換夏は海冬はイルミネーションー
というマニュアル極まりない恋愛関係に鳥肌が立ってしまう性質の私としては
(他人は勝手にやってればいい。自分がやるのが心底苦手)
こういうひねくれにひねくれまくった男女関係は正直死ぬほど羨ましい。

それにしても本作の〝天井裏覗き〟には
江戸川乱歩の〝人間椅子〟に匹敵するインモラルなエロさを感じたな。

おすすめ。



蛇足:
私は主人公の兄と似た感じで、幼いころ
「今こうして喋ってる友人たちは皆それぞれルックスや話す言語や世界が違って
でも自分の周りの人間は自分と同じものに見えていて、
なのに誰もがそれに気づかずにそれぞれの外見・言葉・世界の中で生きてるんじゃ
なかろうか」
というパラノイア的妄想にとり憑かれたことがあります。
願わくば、行きつ戻りつしながら何かがいい方向へ変わっていけばいい。



定年退職後、近所のゲーセンに再就職した剣道の達人キヨ。
柔道家で居酒屋「酔いどれ鯨」の元亭主シゲ。
機械をいじらせたら無敵の頭脳派、工場経営者ノリ。
かつての悪ガキ「三匹のおっさん」が、自警団を結成した。
詐欺に痴漢に動物虐待…。孫と娘の高校生コンビも手伝って、身近なご町内の悪を斬る! 
“アラ還(還暦前後)”活劇小説。

***

確かに最近の老人は若い。
テレビで「60過ぎぐらいかなー」とか思って観てると、キャプションに(75)とか出ていて
「若っ!!!」と叫ぶこともしょっちゅう。
だから本作の〝三匹のおっさん〟の活躍も違和感なく痛快に読むことができた。

ただ、解決する事件が、あまりにありふれすぎていて
話の流れが読めてしまうのと、シゲさんの活躍がほとんどなかった点が微妙。
(ていうか頭脳派はいいとして武道派が二人もいるのは若干キャラかぶってた気がする。
全員専門が違ったほうが面白かったのに)
話が全体的に説教くさかったのもちょっと鼻についたかな。
でも若い連中を叱れる人間が少なくなった今、彼らみたいなおっさんの存在は
すごく貴重だとは思う。

それにしても、挿し絵の〝エレクトリカル・パレード発動1秒前〟には笑った。

結構楽しめました(でも、個人的には有川さんの著作はシリアスなほうが好きだな。。。
塩の街〟なんて借りて読んだあと即座に買ったし、〝Story Seller〟に収録されてる
短編にはいつも泣かされているし)。
プロフィール
HN:
kovo
性別:
女性
自己紹介:
80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
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