あなたも仲間にしてあげる……。
全寮制の名門女子高を次々と襲う怪事件。
一年生が塔から墜死し、生徒会長は「胎児なき流産」で失血死をとげる。
その正体を追う女探偵「黒猫」と新入生の優子に追る魔手。
背後に暗躍する「ジャック」とは何者なのか?
「イニシエーション・ラブ」の著者が、女性に潜む“闇”を妖しく描く衝撃のデビュー作。
***
。。。。。。。。。
SF系エログロ小説?
前半の理系的雰囲気と全寮制の閉ざされた女子高というミステリアスな空気感が、
後半では一転してヤオイエロ&B級ホラー&スパイアクションもののごった煮とも言うべき
何とも言えない展開に。
〝ジャック〟の正体がわかったときは不覚にも大爆笑してしまいましたよ。。。
まあ、最後の超解釈には、「こじつけだろ」と思いつつもほんのちょっとだけ
「もしかしたら本当にそうかも」とか思う部分もありましたが。
というかほんと、キャラの行動原理&思考回路がまじで意味不明。
何で彼はあんな子供がほしかったの? 子供なら何でもよかったの?
何で彼はいきなり拳銃持って暴れだしたの? ていうかどこで拳銃手に入れたの?
何で彼女は最初と最後であそこまで物語に都合よく性格変わってんの?
もうすべてが謎です。今さら知りたいとも思いませんが。
別の意味で面白い小説でした。
メフィスト賞ってここまでやっても受賞できるのか、と嫌な感じに眼からウロコ落ちた。
ある意味おすすめ、かもしれません。
ただお金出して買うと文句を言われるかもしれないので、くれぐれも図書館で借りるなり
古本屋で安く手に入れるなりして読んでみてください。
全寮制の名門女子高を次々と襲う怪事件。
一年生が塔から墜死し、生徒会長は「胎児なき流産」で失血死をとげる。
その正体を追う女探偵「黒猫」と新入生の優子に追る魔手。
背後に暗躍する「ジャック」とは何者なのか?
「イニシエーション・ラブ」の著者が、女性に潜む“闇”を妖しく描く衝撃のデビュー作。
***
。。。。。。。。。
SF系エログロ小説?
前半の理系的雰囲気と全寮制の閉ざされた女子高というミステリアスな空気感が、
後半では一転してヤオイエロ&B級ホラー&スパイアクションもののごった煮とも言うべき
何とも言えない展開に。
〝ジャック〟の正体がわかったときは不覚にも大爆笑してしまいましたよ。。。
まあ、最後の超解釈には、「こじつけだろ」と思いつつもほんのちょっとだけ
「もしかしたら本当にそうかも」とか思う部分もありましたが。
というかほんと、キャラの行動原理&思考回路がまじで意味不明。
何で彼はあんな子供がほしかったの? 子供なら何でもよかったの?
何で彼はいきなり拳銃持って暴れだしたの? ていうかどこで拳銃手に入れたの?
何で彼女は最初と最後であそこまで物語に都合よく性格変わってんの?
もうすべてが謎です。今さら知りたいとも思いませんが。
別の意味で面白い小説でした。
メフィスト賞ってここまでやっても受賞できるのか、と嫌な感じに眼からウロコ落ちた。
ある意味おすすめ、かもしれません。
ただお金出して買うと文句を言われるかもしれないので、くれぐれも図書館で借りるなり
古本屋で安く手に入れるなりして読んでみてください。
PR
ここにいるよ……。
東京の静かな住宅街で立て続けに起こる、陰惨な一家連続殺人。
現場には裸に剥かれノコギリで体中を抉られた両親、
宗教家のような姿勢で喉を掻き切った少年の姿があった。
自らも家庭に修羅を抱える刑事・馬見原光毅と、第一発見者となった
美術教師・巣藤浚介の人生をも巻き込んで、事件は意外な展開を見せる…。
山本周五郎賞受賞の名作が、ファンの熱い期待に応え
一九九五年当時のオリジナルバージョンで登場。
***
500P超えの長編ですが、内容が面白いのであっという間に読んでしまった。
巷のレビューでさかんに言われている「殺人描写がグロすぎる」というのも、
個人的にはまったくそうは思わなかったし。
デビュー作から思っていたけど、この天童荒太という作家は
少年少女の繊細な心の描写が本当にうまい。
二十代の私ですら十代の学生だったころの感情を忘れかけているというのに、
どうして彼がここまで子供の気持ちをわかるのかと不思議になってしまう。
ミステリとして捉えると犯人は結構早い段階でわかってしまうので
あまり評価はできないけれど、本作の主体はあくまで〝家族〟なので
ミステリ部分はおまけのようなものだと思って読んだほうがいいです>>ミステリ好きの人
それにしても。。。これって14年も前の作品なのに、家庭内で起こっている問題が
今とまったく変わっていないというのがどうにもやるせない。
親の子殺し、子の親殺し、家庭内暴力、虐待etc.。。。そういった諸々は
最近になって顕著になってきたのかとてっきり思っていたけれど、
単に当時は自分が子供でニュースを観なかったから知らなかっただけで、
こういう〝病み(闇)〟は時代から時代へ連綿と受け継がれているんだな。。。
世代が違うとギャグや流行言葉が通じないように、価値観や言いたいことが
相手に通じなくなるから親子というものは理解しあい難い。言葉というものは難しいなあ。。。
ベタ極まりないけど、医者やカウンセラーに任せるよりも、まずは相手を抱きしめること。
これが何より互いを理解する方法だと私は常々思っている。
下手に言葉を連ねるよりも動物の真似が何よりの愛情表現。
最後にグチを少々。
浚介、女に見とれすぎ。そして一見精神的に成長したような風に見えるけど
よくよく考えたら無責任すぎ。なのでこのキャラクターはあまり好きになれなかった。
あと、ある二人のセックスシーン。舞城王太郎の〝阿修羅ガール〟を読んでいた私としては
「酔ってんじゃねえよバカどもが」という感じだった。
本作を読んだあとに読んでみるといいかも。
ラストが単純なホラーオチになっちゃったのはちょっと残念だけど、
なかなかの良作だと思います。
おすすめ。
東京の静かな住宅街で立て続けに起こる、陰惨な一家連続殺人。
現場には裸に剥かれノコギリで体中を抉られた両親、
宗教家のような姿勢で喉を掻き切った少年の姿があった。
自らも家庭に修羅を抱える刑事・馬見原光毅と、第一発見者となった
美術教師・巣藤浚介の人生をも巻き込んで、事件は意外な展開を見せる…。
山本周五郎賞受賞の名作が、ファンの熱い期待に応え
一九九五年当時のオリジナルバージョンで登場。
***
500P超えの長編ですが、内容が面白いのであっという間に読んでしまった。
巷のレビューでさかんに言われている「殺人描写がグロすぎる」というのも、
個人的にはまったくそうは思わなかったし。
デビュー作から思っていたけど、この天童荒太という作家は
少年少女の繊細な心の描写が本当にうまい。
二十代の私ですら十代の学生だったころの感情を忘れかけているというのに、
どうして彼がここまで子供の気持ちをわかるのかと不思議になってしまう。
ミステリとして捉えると犯人は結構早い段階でわかってしまうので
あまり評価はできないけれど、本作の主体はあくまで〝家族〟なので
ミステリ部分はおまけのようなものだと思って読んだほうがいいです>>ミステリ好きの人
それにしても。。。これって14年も前の作品なのに、家庭内で起こっている問題が
今とまったく変わっていないというのがどうにもやるせない。
親の子殺し、子の親殺し、家庭内暴力、虐待etc.。。。そういった諸々は
最近になって顕著になってきたのかとてっきり思っていたけれど、
単に当時は自分が子供でニュースを観なかったから知らなかっただけで、
こういう〝病み(闇)〟は時代から時代へ連綿と受け継がれているんだな。。。
世代が違うとギャグや流行言葉が通じないように、価値観や言いたいことが
相手に通じなくなるから親子というものは理解しあい難い。言葉というものは難しいなあ。。。
ベタ極まりないけど、医者やカウンセラーに任せるよりも、まずは相手を抱きしめること。
これが何より互いを理解する方法だと私は常々思っている。
下手に言葉を連ねるよりも動物の真似が何よりの愛情表現。
最後にグチを少々。
浚介、女に見とれすぎ。そして一見精神的に成長したような風に見えるけど
よくよく考えたら無責任すぎ。なのでこのキャラクターはあまり好きになれなかった。
あと、ある二人のセックスシーン。舞城王太郎の〝阿修羅ガール〟を読んでいた私としては
「酔ってんじゃねえよバカどもが」という感じだった。
本作を読んだあとに読んでみるといいかも。
ラストが単純なホラーオチになっちゃったのはちょっと残念だけど、
なかなかの良作だと思います。
おすすめ。
「ウイアーノーポリス、ノーマフィア。ピース」
スタイリッシュで、個性的なホストが集うclub indigoはオープン三年目を迎え、
リニューアルを決定。ある伝手で有名インテリアデザイナーに内装を依頼した。
改装工事の間、店は仮店舗で営業することになる。
そんなバタバタの中、ホスト達はそれぞれトラブルに見舞われて…。
ジョン太、アレックス、犬マンがプライベートで巻き込まれた事件の顛末に加え、
indigoリニューアルに絡む騒動まで勃発。ますます快調なシリーズ第三弾。
ホスト探偵団は、今日も夜の街を駆け抜ける。
★収録作品★
神山グラフィティ
ラスカル3
シン・アイス
ホワイトクロウ
***
に続くシリーズ第三弾。
ストーリーの切れ味と面白さ、ミステリの度合いはやや失速気味ですが(それに
ミステリとしての構成力も。最後の最後になってようやく真相のダイジェスト版を
ぎゅうぎゅう詰めに書いてジ・エンド、という話が多かった)、
そのぶんキャラのはっちゃけぶりとギャグパートが増していて全体に面白く読めた。
今回は、シリーズで特に活躍しているホスト3人をフィーチャーした短編になっているので
前二作の主人公である晶さんが最終話にしか出てこないのが残念ですが(それにやっぱり
このシリーズは、indigoのホストたち勢ぞろい&彼らの連携プレーで謎を解決するのが
読んでいて気持ちいいし)、各ホストの個性が浮き彫りにされたぶん、今後の彼らの活躍が
よりいっそうリアリティ溢れるものになって楽しく読めるだろうからそのへんは楽しみ。
でも、(こんな褒め方は失礼だけど)この年齢で、しかも一度もホストクラブに行ったことが
ないにも関わらず、最近の若者やホストクラブの内部をここまで違和感なくリアルに書ける
加藤氏はすごいと思う(余談ですが、かつてホストクラブでクラブシンガーの仕事をしていた
私から見てもまったく「こんなホストクラブもホストもいねえよ」と突っ込むポイントがない)。
表題作〝ホワイトクロウ〟の謎はコナンにもよく似たものがあったので既視感を感じたけど
まあいいや。
おすすめです。
特にシリーズ全作を通してミステリ初心者の人におすすめ。
スタイリッシュで、個性的なホストが集うclub indigoはオープン三年目を迎え、
リニューアルを決定。ある伝手で有名インテリアデザイナーに内装を依頼した。
改装工事の間、店は仮店舗で営業することになる。
そんなバタバタの中、ホスト達はそれぞれトラブルに見舞われて…。
ジョン太、アレックス、犬マンがプライベートで巻き込まれた事件の顛末に加え、
indigoリニューアルに絡む騒動まで勃発。ますます快調なシリーズ第三弾。
ホスト探偵団は、今日も夜の街を駆け抜ける。
★収録作品★
神山グラフィティ
ラスカル3
シン・アイス
ホワイトクロウ
***
に続くシリーズ第三弾。
ストーリーの切れ味と面白さ、ミステリの度合いはやや失速気味ですが(それに
ミステリとしての構成力も。最後の最後になってようやく真相のダイジェスト版を
ぎゅうぎゅう詰めに書いてジ・エンド、という話が多かった)、
そのぶんキャラのはっちゃけぶりとギャグパートが増していて全体に面白く読めた。
今回は、シリーズで特に活躍しているホスト3人をフィーチャーした短編になっているので
前二作の主人公である晶さんが最終話にしか出てこないのが残念ですが(それにやっぱり
このシリーズは、indigoのホストたち勢ぞろい&彼らの連携プレーで謎を解決するのが
読んでいて気持ちいいし)、各ホストの個性が浮き彫りにされたぶん、今後の彼らの活躍が
よりいっそうリアリティ溢れるものになって楽しく読めるだろうからそのへんは楽しみ。
でも、(こんな褒め方は失礼だけど)この年齢で、しかも一度もホストクラブに行ったことが
ないにも関わらず、最近の若者やホストクラブの内部をここまで違和感なくリアルに書ける
加藤氏はすごいと思う(余談ですが、かつてホストクラブでクラブシンガーの仕事をしていた
私から見てもまったく「こんなホストクラブもホストもいねえよ」と突っ込むポイントがない)。
表題作〝ホワイトクロウ〟の謎はコナンにもよく似たものがあったので既視感を感じたけど
まあいいや。
おすすめです。
特にシリーズ全作を通してミステリ初心者の人におすすめ。
この痛みと共生する。
ある日、彼女は秘密を打ちあけた。
「私は、0.0001%の運命を背負って、生きているの」
サヨナラを言えば、2人は幸せになれるかもしれない…それでも、僕の心はこう叫ぶ。
絶対に、彼女じゃなければ、ダメなんだ。
今すぐ大好きな人に会いに行きたくなる、極純のラブストーリー。
第二回新潮エンターテインメント新人賞受賞。
***
プロも応募できる賞の受賞者とはいえ、そこらのプロ作家よりずっと文章がうまい。
内容も、ある二人の恋人のやりとりを特に大げさなエピソードを交えることもなく
淡々と書き連ねているだけなのですが、著者に筆力があるので最後まで一気に読ませる。
ただ、こういった難病ものをテーマにした小説は仕方がないのかもしれませんが、
読み終えたあとは「ああ、やっぱり予想通りのところに落ち着いたか。。。」と
何の感慨も抱けなかったのが残念といえば残念。
特に私は、もし自分が遺伝性疾患を持っていた場合は、絶対に子供はつくらないと
決めている人間なので、本作のラストにはいまいち共感しづらかった。
ただ、主人公の青年が、安易に「僕が支えるよ」「僕が一生一緒にいる」等と
ろくに現実を見ようともせずに自己陶酔だけで簡単に口にする男じゃなかったことには
すごく好感が持てた(悲しいことに実際には、そういう自己陶酔野郎のほうが多いし。
自分に酔って安請け合いして、いざ容赦ない現実を目の当たりにすると即逃げ出す。
これなら最初から逃げてくれたほうがまし)。
パートナーが窮地に立たされたとき、長く面倒を看てやるのは決まって女のほうで、
男は絶対的に少ないのはどうしてなのかな。
女は男を人間としても見るけど、男は女を女としてしか見ない人が多いからかな。
だから相手が女としての機能を果たせなくなったら離れていく。
この物語の主人公みたいな人が、男女問わずこの世に増えてくれれば
寂しさや孤独を感じる人間も減るのにな。
ある日、彼女は秘密を打ちあけた。
「私は、0.0001%の運命を背負って、生きているの」
サヨナラを言えば、2人は幸せになれるかもしれない…それでも、僕の心はこう叫ぶ。
絶対に、彼女じゃなければ、ダメなんだ。
今すぐ大好きな人に会いに行きたくなる、極純のラブストーリー。
第二回新潮エンターテインメント新人賞受賞。
***
プロも応募できる賞の受賞者とはいえ、そこらのプロ作家よりずっと文章がうまい。
内容も、ある二人の恋人のやりとりを特に大げさなエピソードを交えることもなく
淡々と書き連ねているだけなのですが、著者に筆力があるので最後まで一気に読ませる。
ただ、こういった難病ものをテーマにした小説は仕方がないのかもしれませんが、
読み終えたあとは「ああ、やっぱり予想通りのところに落ち着いたか。。。」と
何の感慨も抱けなかったのが残念といえば残念。
特に私は、もし自分が遺伝性疾患を持っていた場合は、絶対に子供はつくらないと
決めている人間なので、本作のラストにはいまいち共感しづらかった。
ただ、主人公の青年が、安易に「僕が支えるよ」「僕が一生一緒にいる」等と
ろくに現実を見ようともせずに自己陶酔だけで簡単に口にする男じゃなかったことには
すごく好感が持てた(悲しいことに実際には、そういう自己陶酔野郎のほうが多いし。
自分に酔って安請け合いして、いざ容赦ない現実を目の当たりにすると即逃げ出す。
これなら最初から逃げてくれたほうがまし)。
パートナーが窮地に立たされたとき、長く面倒を看てやるのは決まって女のほうで、
男は絶対的に少ないのはどうしてなのかな。
女は男を人間としても見るけど、男は女を女としてしか見ない人が多いからかな。
だから相手が女としての機能を果たせなくなったら離れていく。
この物語の主人公みたいな人が、男女問わずこの世に増えてくれれば
寂しさや孤独を感じる人間も減るのにな。
「幸せだよ。何にしろ」
「じつはフランス製じゃないんだ、フランス人形は」
「そうなの?」
ある春の日、八駒家に持ち込まれたプラスチックの箱の中身は、
「冬の室内」といった趣の舞台装置と、その右のほうに置かれた椅子に行儀よく腰かけている
少女の人形。子供らしい快活を示すように、ひょいと天を向けた少女の左足のつま先は――
こなごなになっていた。
破損の責任を押しつけられそうな敬典の姿を見て、娘のつばめは憤慨するが、
敬典は不思議と落ち着いていて……。
きっかけは小さな謎でも、それらは八駒家の食卓の上で壮大なペダントリに発展する。
『天才たちの値段』で鮮烈な印象を与えた新鋭が贈る、
あたたかなタッチで描かれた愉しい連作。
★収録作品★
人形の部屋
外泊1――銀座のビスマルク
お花当番
外泊2――夢みる人の奈良
お子様ランチで晩酌を
***
唯一面白かったのは第四話〝夢みる人の奈良〟だけ。
あとは提示される謎にも興味をそそられないし謎解きの過程も強引だしで(特に
〝お花当番 〟がひどい。あんなのわかるわけないっつの)あまり楽しめなかった。
〝人形の部屋〟〝お花当番〟は無駄に長くて起伏もない、要するに締まりがないから
物語に集中しづらかったし、門井氏の文章はちょっと独特なので(何と言っても個性的なのが
地の文が読者に話しかけてくる)、その文体が気になってしまうという点でも
作品世界に入り込みづらかった。不要なうんちくがやたら長かったりするし。
駄作というわけではないので最後まで読み通したけど、
たぶん数ヶ月経ったらもう内容忘れてそうだな。
本作なら〝天才たちの値段〟のほうがずっとおすすめ。
「じつはフランス製じゃないんだ、フランス人形は」
「そうなの?」
ある春の日、八駒家に持ち込まれたプラスチックの箱の中身は、
「冬の室内」といった趣の舞台装置と、その右のほうに置かれた椅子に行儀よく腰かけている
少女の人形。子供らしい快活を示すように、ひょいと天を向けた少女の左足のつま先は――
こなごなになっていた。
破損の責任を押しつけられそうな敬典の姿を見て、娘のつばめは憤慨するが、
敬典は不思議と落ち着いていて……。
きっかけは小さな謎でも、それらは八駒家の食卓の上で壮大なペダントリに発展する。
『天才たちの値段』で鮮烈な印象を与えた新鋭が贈る、
あたたかなタッチで描かれた愉しい連作。
★収録作品★
人形の部屋
外泊1――銀座のビスマルク
お花当番
外泊2――夢みる人の奈良
お子様ランチで晩酌を
***
唯一面白かったのは第四話〝夢みる人の奈良〟だけ。
あとは提示される謎にも興味をそそられないし謎解きの過程も強引だしで(特に
〝お花当番 〟がひどい。あんなのわかるわけないっつの)あまり楽しめなかった。
〝人形の部屋〟〝お花当番〟は無駄に長くて起伏もない、要するに締まりがないから
物語に集中しづらかったし、門井氏の文章はちょっと独特なので(何と言っても個性的なのが
地の文が読者に話しかけてくる)、その文体が気になってしまうという点でも
作品世界に入り込みづらかった。不要なうんちくがやたら長かったりするし。
駄作というわけではないので最後まで読み通したけど、
たぶん数ヶ月経ったらもう内容忘れてそうだな。
本作なら〝天才たちの値段〟のほうがずっとおすすめ。
ほれ、また光りだした。
愛する人を失った悲しい記憶を胸奥に秘めて、奥能登の板前の後妻として生きる、
成熟した女の情念を描く表題作ほか3編を収める。
★収録作品★
幻の光
夜桜
こうもり
寝台車
***
だいぶ前に映画で観て、その出来にはあまり納得がいかなかったものの
映像がとてもきれいだったことだけはずっと心に残っていて、
いつか原作を読みたいなと思い続けようやく手に取った作品。
言うまでもなく、映画と比肩し得る余地のないぐらい素晴らしい小説だった。
〝幻の光〟という、ともすれば陳腐になりかねないタイトルを、
物語内でうまく使うことによって、読み終えたころには
「この作品にはこのタイトル以外ない」
と心底納得させられる。
人(本作の場合は主人公の元夫)の奥底に眠る闇のふとした瞬間の表出を、
あんな形で表現する著者の発想にも驚嘆させられた。
悲しいと泣き喚くより、死んだように虚ろになるより、狂ったように笑い出すよりも、
ずっとずっと元夫の深い虚無と静かな狂気が浮き彫りにされていて、
そのあまりの生々しさに物悲しさよりも恐怖をおぼえた。
迫ってくる何かへの恐怖じゃなく、何か大切なものが吸い取られていくような恐怖。
表題作以外の短編はすべて、もともとテーマをはっきりと提示しない〝純文学〟という
ジャンルの中でも特に著者の主張がぼかされて書かれている本書ですが、
それでも心に染み込むように伝わってくるものは確かにあるし、
宮本氏の作品はその文章が紡ぎ出す情景が幻想的で非常に美しいので(その部分が
唯一映画にも反映されていたのかもしれません)、
そういったワンシーンワンシーンを頭に思い浮かべながら読むのもおつです。
読んでよかった。
おすすめです。
蛇足1:
本作を自宅のリビングで読んでいるとき、タイムリーにもテレビから
「ダバダ~ダ~ダ~ダバダ~ダバダ~♪」とネスカフェのテーマが流れ出し、思わず心で
『宮本輝は、知っている』と呟いてしまった←あほ
蛇足2:
宮本氏は20代のとき、私と同じパニック障害を患っていたそうだ。
こう言っちゃなんだけどなんかちょっと嬉しかった。
愛する人を失った悲しい記憶を胸奥に秘めて、奥能登の板前の後妻として生きる、
成熟した女の情念を描く表題作ほか3編を収める。
★収録作品★
幻の光
夜桜
こうもり
寝台車
***
だいぶ前に映画で観て、その出来にはあまり納得がいかなかったものの
映像がとてもきれいだったことだけはずっと心に残っていて、
いつか原作を読みたいなと思い続けようやく手に取った作品。
言うまでもなく、映画と比肩し得る余地のないぐらい素晴らしい小説だった。
〝幻の光〟という、ともすれば陳腐になりかねないタイトルを、
物語内でうまく使うことによって、読み終えたころには
「この作品にはこのタイトル以外ない」
と心底納得させられる。
人(本作の場合は主人公の元夫)の奥底に眠る闇のふとした瞬間の表出を、
あんな形で表現する著者の発想にも驚嘆させられた。
悲しいと泣き喚くより、死んだように虚ろになるより、狂ったように笑い出すよりも、
ずっとずっと元夫の深い虚無と静かな狂気が浮き彫りにされていて、
そのあまりの生々しさに物悲しさよりも恐怖をおぼえた。
迫ってくる何かへの恐怖じゃなく、何か大切なものが吸い取られていくような恐怖。
表題作以外の短編はすべて、もともとテーマをはっきりと提示しない〝純文学〟という
ジャンルの中でも特に著者の主張がぼかされて書かれている本書ですが、
それでも心に染み込むように伝わってくるものは確かにあるし、
宮本氏の作品はその文章が紡ぎ出す情景が幻想的で非常に美しいので(その部分が
唯一映画にも反映されていたのかもしれません)、
そういったワンシーンワンシーンを頭に思い浮かべながら読むのもおつです。
読んでよかった。
おすすめです。
蛇足1:
本作を自宅のリビングで読んでいるとき、タイムリーにもテレビから
「ダバダ~ダ~ダ~ダバダ~ダバダ~♪」とネスカフェのテーマが流れ出し、思わず心で
『宮本輝は、知っている』と呟いてしまった←あほ
蛇足2:
宮本氏は20代のとき、私と同じパニック障害を患っていたそうだ。
こう言っちゃなんだけどなんかちょっと嬉しかった。
僕は生きている。
未発表作含む鮮烈な小説集。
04年7月、52歳で急逝。
原作映画もヒット、没して猶存在感が増す中島らも氏の未発表2作を含む、小説集。
幻想、愛、恐怖、笑い、毒…。不世出の異才の多面的な作風と魅力の全てがこの本にある!
★収録作品★
山紫館の怪
君はフィクション
コルトナの亡霊
DECO-CHIN
水妖はん
東住吉のぶっこわし屋
結婚しようよ
ねたのよい―山口冨士夫さまへ―
狂言「地籍の神」
バッド・チューニング
***
某ミステリアンソロジーで読んだ〝DECO-CHIN〟にむちゃくちゃハマり
それが収録されている本短編集を手に取った次第。
でこちんはやっぱり何度読んでも斬新で面白かった。
でこちんはらもさんが事故に遭う日の三日前に脱稿した作品で、事実上の遺作にあたる。
こんなんが遺作って。。。ほんと、らもさんらしいよなあ笑
〝コルトナの亡霊〟も、リーダビリティでいったら相当なもの。どうなるのかどうなるのかと
先が気になってページを繰る手が止まらない、久しぶりにそんな感覚を味わった(ラストを
もうちょっと書き込んでくれたらもっとよかったんだけどな。あまりにあっさり終わりすぎ)。
その他収録作もホラーあり、コメディあり、純文学あり、更にはらもさんの私小説要素ありの
もりだくさんな内容になっています。
なので逆にらもさん初心者の人にはお勧めしづらいかな。
中島らもという作家の人となりをある程度知ってから読んだほうが
楽しく、親しみを込めて読めると思う。
とりあえずお勧めしたいのは〝ガダラの豚〟〝人体模型の夜〟、
エッセイなら〝心が雨漏りする日には〟かな。
未発表作含む鮮烈な小説集。
04年7月、52歳で急逝。
原作映画もヒット、没して猶存在感が増す中島らも氏の未発表2作を含む、小説集。
幻想、愛、恐怖、笑い、毒…。不世出の異才の多面的な作風と魅力の全てがこの本にある!
★収録作品★
山紫館の怪
君はフィクション
コルトナの亡霊
DECO-CHIN
水妖はん
東住吉のぶっこわし屋
結婚しようよ
ねたのよい―山口冨士夫さまへ―
狂言「地籍の神」
バッド・チューニング
***
某ミステリアンソロジーで読んだ〝DECO-CHIN〟にむちゃくちゃハマり
それが収録されている本短編集を手に取った次第。
でこちんはやっぱり何度読んでも斬新で面白かった。
でこちんはらもさんが事故に遭う日の三日前に脱稿した作品で、事実上の遺作にあたる。
こんなんが遺作って。。。ほんと、らもさんらしいよなあ笑
〝コルトナの亡霊〟も、リーダビリティでいったら相当なもの。どうなるのかどうなるのかと
先が気になってページを繰る手が止まらない、久しぶりにそんな感覚を味わった(ラストを
もうちょっと書き込んでくれたらもっとよかったんだけどな。あまりにあっさり終わりすぎ)。
その他収録作もホラーあり、コメディあり、純文学あり、更にはらもさんの私小説要素ありの
もりだくさんな内容になっています。
なので逆にらもさん初心者の人にはお勧めしづらいかな。
中島らもという作家の人となりをある程度知ってから読んだほうが
楽しく、親しみを込めて読めると思う。
とりあえずお勧めしたいのは〝ガダラの豚〟〝人体模型の夜〟、
エッセイなら〝心が雨漏りする日には〟かな。
生き延びる――。
サラリーマン西谷久太郎を突如襲った大地震。震源は東京湾北部、マグニチュード7.3。
高層ビルのエレベーターからようやく脱出した西谷が目にしたものは…。
リアルなデータと情報を満載した実用的シミュレーション小説。
***
主人公&その相棒? の名前(災厄太郎&解説男)、そしてタイトルから察せるとおり、
この本を〝福井晴敏の書いた小説〟として読むと肩透かしくいます。
あくまで〝関東を大地震が襲ったらどのように対処すべきか〟を小説風にアレンジした
対地震災害ハウツー本。
ストーリーもオマケのようなものなので期待しないほうがいいです。
福井氏大ファンの私でも、
「これを読むぐらいなら〝ドラゴンヘッド〟のほうが物語としてもよっぽど面白いしリアルだし
災害にどう対処すべきかも学べるよなあ。。。」
と思ってしまった。
それにしても中表紙のイラストの男性が劇団ひとりに見えるのは私だけ?
サラリーマン西谷久太郎を突如襲った大地震。震源は東京湾北部、マグニチュード7.3。
高層ビルのエレベーターからようやく脱出した西谷が目にしたものは…。
リアルなデータと情報を満載した実用的シミュレーション小説。
***
主人公&その相棒? の名前(災厄太郎&解説男)、そしてタイトルから察せるとおり、
この本を〝福井晴敏の書いた小説〟として読むと肩透かしくいます。
あくまで〝関東を大地震が襲ったらどのように対処すべきか〟を小説風にアレンジした
対地震災害ハウツー本。
ストーリーもオマケのようなものなので期待しないほうがいいです。
福井氏大ファンの私でも、
「これを読むぐらいなら〝ドラゴンヘッド〟のほうが物語としてもよっぽど面白いしリアルだし
災害にどう対処すべきかも学べるよなあ。。。」
と思ってしまった。
それにしても中表紙のイラストの男性が劇団ひとりに見えるのは私だけ?
神よ。私は幸せです。
あたしは必ず、脱出してみせる――。ノンストップ最新長篇!
32人が流れ着いた太平洋の涯の島に、女は清子ひとりだけ。
いつまで待っても、無人島に助けの船は来ず、いつしか皆は島をトウキョウ島と呼ぶようになる。
果たして、ここは地獄か、楽園か? いつか脱出できるのか――。
欲を剥き出しに生に縋りつく人間たちの極限状態を容赦なく描き、
読む者の手を止めさせない傑作長篇誕生!
***
偏見で申し訳ないですが、女性の書く小説というのはとかく小ぢんまりとまとまって
しまいがちな印象があるので、いくら直木賞受賞作家といえどこの手の壮大な物語を
描ききれるものかとあまり期待せずに読み進めていったのですが。。。
その読みは間違っていなかったようです。
何より中途半端極まりないラストに脱力。
童話やジュブナイルならこれでも許されるかもしれませんが、
大人向けに書かれた物語でこのオチはいくらなんでもひどい。
清子が最後、突然高名な占い師になっているのも脈絡がなさ過ぎてあっけにとられたし、
物語全体があまりにもご都合主義に展開するのでスリルも何もあったもんじゃない。
それに(たとえ著者があえて狙ってそうしているのだとしても)、清子の性格が
生理的に受け付けなくて、でも彼女主体で物語が進行するので苦痛で仕方なかった。
登場人物たちが無人島で暮らしていくうちに来たす精神的変化も、
ほとんど描写されていないので何で突然そのキャラがそういう考えに至ったのか、
そういう行動に走ったのか、というのがいちいち掴みにくく、かと思えば
今どきマンガでもお眼にかからないようなありきたりな理由で人格が変わる人間も
出てくる始末で、ページを繰るごとに本作に興味をなくしていく自分を感じた。
そして女性特有の〝所帯くさい〟描写。
無人島に流れ着いた人が都会に帰ったら食べたいものを夢想するのは当然ですが、
いちいちその食べ物にメーカー名を入れないでほしい。正直ダサい。
男性作家ならまずやらないでしょう。
同じサバイバルものなら、こちらは無人島じゃないですが貴志祐介氏の
のほうが遥かにおすすめ。
本作は可もなし不可もなし、それ以外の感想は特にないです。
あたしは必ず、脱出してみせる――。ノンストップ最新長篇!
32人が流れ着いた太平洋の涯の島に、女は清子ひとりだけ。
いつまで待っても、無人島に助けの船は来ず、いつしか皆は島をトウキョウ島と呼ぶようになる。
果たして、ここは地獄か、楽園か? いつか脱出できるのか――。
欲を剥き出しに生に縋りつく人間たちの極限状態を容赦なく描き、
読む者の手を止めさせない傑作長篇誕生!
***
偏見で申し訳ないですが、女性の書く小説というのはとかく小ぢんまりとまとまって
しまいがちな印象があるので、いくら直木賞受賞作家といえどこの手の壮大な物語を
描ききれるものかとあまり期待せずに読み進めていったのですが。。。
その読みは間違っていなかったようです。
何より中途半端極まりないラストに脱力。
童話やジュブナイルならこれでも許されるかもしれませんが、
大人向けに書かれた物語でこのオチはいくらなんでもひどい。
清子が最後、突然高名な占い師になっているのも脈絡がなさ過ぎてあっけにとられたし、
物語全体があまりにもご都合主義に展開するのでスリルも何もあったもんじゃない。
それに(たとえ著者があえて狙ってそうしているのだとしても)、清子の性格が
生理的に受け付けなくて、でも彼女主体で物語が進行するので苦痛で仕方なかった。
登場人物たちが無人島で暮らしていくうちに来たす精神的変化も、
ほとんど描写されていないので何で突然そのキャラがそういう考えに至ったのか、
そういう行動に走ったのか、というのがいちいち掴みにくく、かと思えば
今どきマンガでもお眼にかからないようなありきたりな理由で人格が変わる人間も
出てくる始末で、ページを繰るごとに本作に興味をなくしていく自分を感じた。
そして女性特有の〝所帯くさい〟描写。
無人島に流れ着いた人が都会に帰ったら食べたいものを夢想するのは当然ですが、
いちいちその食べ物にメーカー名を入れないでほしい。正直ダサい。
男性作家ならまずやらないでしょう。
同じサバイバルものなら、こちらは無人島じゃないですが貴志祐介氏の
のほうが遥かにおすすめ。
本作は可もなし不可もなし、それ以外の感想は特にないです。
勇気はあるか?
岡本猛はいきなり現われ脅す。「勇気はあるか?」
五反田正臣は警告する。「見て見ぬふりも勇気だ」
渡辺拓海は言う。「勇気は実家に忘れてきました」
大石倉之助は訝る。「ちょっと異常な気がします」
井坂好太郎は嘯く。「人生は要約できねえんだよ」
渡辺佳代子は怒る。「善悪なんて、見る角度次第」
永嶋丈は語る。「本当の英雄になってみたかった」
検索から、監視が始まる。
漫画週刊誌「モーニング」で連載された伊坂作品、最長1200枚。
***
いきなり註:
本作は↓の続編なので、こちらを先に読んでから読むことを推奨します。
。。。
あれだけ好きな作家だったのに、ここ最近の伊坂作品には
読むたびごとに幻滅を感じさせられている。
理由としては、これまでの伊坂作品はあくまで伊坂氏の想像力をメインに
描かれていたのに対して、ここのところは何か別の媒体(映画や本)からの引用、
政治絡みのエピソードが非常に多くなってしまって、物語というよりはもはや
エッセイに近くなってしまっている、ということ。
本作でも、ここ最近の時事問題を詰め込んでそれに対する意見を
登場人物の口を借りて語らせているだけ、という印象を受けた。
本作には自分の思っていることを他人に言わせることが出来る、人間腹話術師の
能力を持った人物が登場するけど、まさにこの小説自体が伊坂氏の言いたいことを
そのまま口にしているだけの腹話術本といった感じだった。
(たとえるならNHK教育で人間とぬいぐるみが会話しながら社会や理科とかについて
「そうかあ! そういうことだったんだねお兄さん!」「そうなんだよ○○くん」
とやっている白々しさに似ている。製作者の思惟が透けて見えてしまって
最早物語として受け止められないあの感じ)
その割りに、作中における名台詞は全部どこかからの引用で
伊坂氏自身の言葉じゃないし。。。
昔はちゃんと伊坂氏自身の考えた言葉が、登場人物たちの口から飛び出して
忘れられない記憶になって読み手の心に残ったのに。
そして内容。前著〝ゴールデン・スランバー〟とほとんど同じ。。。と思っていたら
伊坂氏本人にもその自覚はあるようで、あとがきでそのことについて言及していましたが、
「本作と〝ゴールデン・スランバー〟は二卵性の兄弟のようなもの」
って。。。だったらいっそその卵をひとつにまとめて一冊にして出してほしかったよ。
ほとんど同じ内容の小説を、しかもこんなにぶっとい本を、二回続けて読まされる
こっちの身にもなってほしい。
どんな駄作でもそれと気づかず読めるほどの盲目的伊坂信者(もしくは
そこまで身を入れて本を読まない性質で読んだ端から内容を忘れるようなタイプ)じゃない限り
二冊とも楽しめた、なんて人はいないと思う。
そして〝魔王〟が大好きな私としては、あれだけ壮大な凄みを感じさせる終わり方だった前著が
こんなつまらない続編として発表されたことにも嘆かざるを得ない。
自分が「きっとこうなるんだろうな」と勝手に夢想していた内容のほうがよっぽどいい。
なので本作は自分の中ではなかったことになっている(FFⅩ-2と同じように。。。って
わからない人はごめんなさい)。
一番はじめに、〝魔王〟を読んでから本作を読むよう打診しましたが、
〝魔王〟で感動した人は正直こっちは読まないほうがいいです。
自分の中の何かが壊れるから。
〝魔王〟のあのクソ野郎の敵討ちが続編である本作で成されていたのだけはすっきりした
けど、それもあんな第三者じゃなくて〝彼〟にやってほしかったなあ。。。
あーほんと読むんじゃなかった。
あとこれは完全に私事ですが、今年某ミステリ新人賞に出そうとして書いた短編と
同じトリックが本作にも使われていることに驚愕。
私がこの短編を書いたのは相当前なのでネタを思いついたのはこっちが先なのに
結局はアマチュア対売れっ子プロ作家。。。これが原因で落ちたらまじ恨む←逆恨み
いろんな意味でいただけない小説でした。
前から思ってたけど伊坂氏、〝火の鳥〟と〝浦澤直樹〟に影響受けすぎだし。
どうでもいいけど伊坂さん、〝下唇をぬるっと突き出す〟って表現と、
老婆を蠱惑的に描写するのはいい加減やめてほしいんですが。。。
〝老いてなお魅力的〟っていうのを書きたいのはわかるんですが、
どうやっても女を捨てきれないでしがみついている、大人になり切れない無様な女、
にしか見えないですから、あなたの書く老婆は。。。
岡本猛はいきなり現われ脅す。「勇気はあるか?」
五反田正臣は警告する。「見て見ぬふりも勇気だ」
渡辺拓海は言う。「勇気は実家に忘れてきました」
大石倉之助は訝る。「ちょっと異常な気がします」
井坂好太郎は嘯く。「人生は要約できねえんだよ」
渡辺佳代子は怒る。「善悪なんて、見る角度次第」
永嶋丈は語る。「本当の英雄になってみたかった」
検索から、監視が始まる。
漫画週刊誌「モーニング」で連載された伊坂作品、最長1200枚。
***
いきなり註:
本作は↓の続編なので、こちらを先に読んでから読むことを推奨します。
。。。
あれだけ好きな作家だったのに、ここ最近の伊坂作品には
読むたびごとに幻滅を感じさせられている。
理由としては、これまでの伊坂作品はあくまで伊坂氏の想像力をメインに
描かれていたのに対して、ここのところは何か別の媒体(映画や本)からの引用、
政治絡みのエピソードが非常に多くなってしまって、物語というよりはもはや
エッセイに近くなってしまっている、ということ。
本作でも、ここ最近の時事問題を詰め込んでそれに対する意見を
登場人物の口を借りて語らせているだけ、という印象を受けた。
本作には自分の思っていることを他人に言わせることが出来る、人間腹話術師の
能力を持った人物が登場するけど、まさにこの小説自体が伊坂氏の言いたいことを
そのまま口にしているだけの腹話術本といった感じだった。
(たとえるならNHK教育で人間とぬいぐるみが会話しながら社会や理科とかについて
「そうかあ! そういうことだったんだねお兄さん!」「そうなんだよ○○くん」
とやっている白々しさに似ている。製作者の思惟が透けて見えてしまって
最早物語として受け止められないあの感じ)
その割りに、作中における名台詞は全部どこかからの引用で
伊坂氏自身の言葉じゃないし。。。
昔はちゃんと伊坂氏自身の考えた言葉が、登場人物たちの口から飛び出して
忘れられない記憶になって読み手の心に残ったのに。
そして内容。前著〝ゴールデン・スランバー〟とほとんど同じ。。。と思っていたら
伊坂氏本人にもその自覚はあるようで、あとがきでそのことについて言及していましたが、
「本作と〝ゴールデン・スランバー〟は二卵性の兄弟のようなもの」
って。。。だったらいっそその卵をひとつにまとめて一冊にして出してほしかったよ。
ほとんど同じ内容の小説を、しかもこんなにぶっとい本を、二回続けて読まされる
こっちの身にもなってほしい。
どんな駄作でもそれと気づかず読めるほどの盲目的伊坂信者(もしくは
そこまで身を入れて本を読まない性質で読んだ端から内容を忘れるようなタイプ)じゃない限り
二冊とも楽しめた、なんて人はいないと思う。
そして〝魔王〟が大好きな私としては、あれだけ壮大な凄みを感じさせる終わり方だった前著が
こんなつまらない続編として発表されたことにも嘆かざるを得ない。
自分が「きっとこうなるんだろうな」と勝手に夢想していた内容のほうがよっぽどいい。
なので本作は自分の中ではなかったことになっている(FFⅩ-2と同じように。。。って
わからない人はごめんなさい)。
一番はじめに、〝魔王〟を読んでから本作を読むよう打診しましたが、
〝魔王〟で感動した人は正直こっちは読まないほうがいいです。
自分の中の何かが壊れるから。
〝魔王〟のあのクソ野郎の敵討ちが続編である本作で成されていたのだけはすっきりした
けど、それもあんな第三者じゃなくて〝彼〟にやってほしかったなあ。。。
あーほんと読むんじゃなかった。
あとこれは完全に私事ですが、今年某ミステリ新人賞に出そうとして書いた短編と
同じトリックが本作にも使われていることに驚愕。
私がこの短編を書いたのは相当前なのでネタを思いついたのはこっちが先なのに
結局はアマチュア対売れっ子プロ作家。。。これが原因で落ちたらまじ恨む←逆恨み
いろんな意味でいただけない小説でした。
前から思ってたけど伊坂氏、〝火の鳥〟と〝浦澤直樹〟に影響受けすぎだし。
どうでもいいけど伊坂さん、〝下唇をぬるっと突き出す〟って表現と、
老婆を蠱惑的に描写するのはいい加減やめてほしいんですが。。。
〝老いてなお魅力的〟っていうのを書きたいのはわかるんですが、
どうやっても女を捨てきれないでしがみついている、大人になり切れない無様な女、
にしか見えないですから、あなたの書く老婆は。。。
プロフィール
HN:
kovo
性別:
女性
自己紹介:
80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
カレンダー
12 | 2025/01 | 02 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | |||
5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 |
12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 |
19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
アーカイブ
フリーエリア
最新コメント
[11/21 LaraGonzalez]
[02/24 kovo]
[02/24 稀乃]
[01/10 kovo]
[01/10 ゆうこ]
最新トラックバック
最新記事
(02/13)
(01/15)
(01/07)
(12/26)
(12/17)
ブログ内検索
最古記事
(09/14)
(09/14)
(09/15)
(09/25)
(09/29)