「I know」
「西の魔女」とは、中学生の少女・まいの祖母のこと。
学校へ行けないまいは、田舎の祖母のところで生活することに。
まいは、祖母の家系が魔女の血筋だと聞く。祖母のいう魔女とは、
代々草木についての知識を受け継ぎ、物事の先を見通す不思議な能力を持つ人だと知る。
まいは自分も魔女になりたいと願い、「魔女修行」を
始める。この「魔女修行」とは、意志の力を強くし、何事も自分で決めること。
そのための第一歩は規則正しい生活をするといった地味なものだった。
野苺を摘んでジャムをつくったり、ハーブで草木の虫を除いたりと、
身近な自然を感じながらの心地よい生活が始まる。次第にまいの心は癒されていく。
魔女はいう。
「自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、後ろめたく思う必要はありませんよ。
サボテンは水の中に生える必要はないし、蓮の花は空中では咲かない。
シロクマがハワイより北極で生きるほうを選んだからといって、だれがシロクマを責めますか」
そしてまいは、この「西の魔女」から決定的なメッセージをうけとるのだった……。
★収録作品★
西の魔女が死んだ
渡りの一日
***
映画化されてますね。
有名な女優・シャーリー・マクレーンの娘さん、サチ・パーカーさんが
〝魔女〟の役を演じています。ご両親共に親日家で、サチという名前も
日本語の〝幸子(Blessed Child)〟を意味するそうです。
と、映画の話はまあいいとして。。。
とても心地いい文体で、一日で読み終えてしまいました。
読み終えて最初の感想。
「あ、魔女になろう、自分も」
地道にがんばれば誰にでも道は拓けているみたいだから。
私にはアメリカ人の叔父がおり、日本人の親戚と違って
私への愛情表現も自分の考えも語り継ぐべき大切なことも皆照れずにストレートに伝えてくれる
叔父のそのやり方がとても好きなのですが、本作の主人公・まいの祖母である
生粋の英国人の祖母も、まさにそんなやり方で自然に、押し付けがましくなく、
大切なことを孫に教えていきます。
それも、いかにも大人が子どもを諭しているというようなお堅い方法じゃなく、
〝魔女のなり方〟というユーモラスでミステリアスなモチーフを交えることで
柔らかく解きほぐしながら。
〝西の魔女が死んだ。〟
というショッキングな一文で始まるこの物語ではありますが、
読み進めるうちにまいと同化した心が少しずつ〝生〟の意味を理屈ではなく感覚で
読むものに教えてくれます。
併録の〝渡りの一日〟とあわせて、ラストにちょっとしたサプライズが待っているところなんかは
ミステリ好きの人にもおすすめかも。
窮屈に凝り固まったものの考え方をほんの少ししなやかにしてもらった、
読み終えたときそんな気がした。
BGMにはもちろんこれをどうぞ。
手嶌葵さんも学生時代に登校拒否経験があるそうです。
だからこんなにも歌声がこの物語にマッチするのかな。
「西の魔女」とは、中学生の少女・まいの祖母のこと。
学校へ行けないまいは、田舎の祖母のところで生活することに。
まいは、祖母の家系が魔女の血筋だと聞く。祖母のいう魔女とは、
代々草木についての知識を受け継ぎ、物事の先を見通す不思議な能力を持つ人だと知る。
まいは自分も魔女になりたいと願い、「魔女修行」を
始める。この「魔女修行」とは、意志の力を強くし、何事も自分で決めること。
そのための第一歩は規則正しい生活をするといった地味なものだった。
野苺を摘んでジャムをつくったり、ハーブで草木の虫を除いたりと、
身近な自然を感じながらの心地よい生活が始まる。次第にまいの心は癒されていく。
魔女はいう。
「自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、後ろめたく思う必要はありませんよ。
サボテンは水の中に生える必要はないし、蓮の花は空中では咲かない。
シロクマがハワイより北極で生きるほうを選んだからといって、だれがシロクマを責めますか」
そしてまいは、この「西の魔女」から決定的なメッセージをうけとるのだった……。
★収録作品★
西の魔女が死んだ
渡りの一日
***
映画化されてますね。
有名な女優・シャーリー・マクレーンの娘さん、サチ・パーカーさんが
〝魔女〟の役を演じています。ご両親共に親日家で、サチという名前も
日本語の〝幸子(Blessed Child)〟を意味するそうです。
と、映画の話はまあいいとして。。。
とても心地いい文体で、一日で読み終えてしまいました。
読み終えて最初の感想。
「あ、魔女になろう、自分も」
地道にがんばれば誰にでも道は拓けているみたいだから。
私にはアメリカ人の叔父がおり、日本人の親戚と違って
私への愛情表現も自分の考えも語り継ぐべき大切なことも皆照れずにストレートに伝えてくれる
叔父のそのやり方がとても好きなのですが、本作の主人公・まいの祖母である
生粋の英国人の祖母も、まさにそんなやり方で自然に、押し付けがましくなく、
大切なことを孫に教えていきます。
それも、いかにも大人が子どもを諭しているというようなお堅い方法じゃなく、
〝魔女のなり方〟というユーモラスでミステリアスなモチーフを交えることで
柔らかく解きほぐしながら。
〝西の魔女が死んだ。〟
というショッキングな一文で始まるこの物語ではありますが、
読み進めるうちにまいと同化した心が少しずつ〝生〟の意味を理屈ではなく感覚で
読むものに教えてくれます。
併録の〝渡りの一日〟とあわせて、ラストにちょっとしたサプライズが待っているところなんかは
ミステリ好きの人にもおすすめかも。
窮屈に凝り固まったものの考え方をほんの少ししなやかにしてもらった、
読み終えたときそんな気がした。
BGMにはもちろんこれをどうぞ。
手嶌葵さんも学生時代に登校拒否経験があるそうです。
だからこんなにも歌声がこの物語にマッチするのかな。
PR
わかるかなあ? 人間ごときに。
神の声が聴こえる娘と、その家族を描く著者初の<長編小説>
「でも最近の神様ちょっと考えすぎだと思うんだよね」
「そういうこと言うから家族がぐちゃぐちゃになっちゃうんでしょ」
『恋愛の解体と北区の滅亡』『グレート生活アドベンチャー』に続く意欲作!!
***
キリスト教が現れてから世界で自殺者が増えた、という説がある。
彼があまりに完璧すぎて、その完璧なる存在と自分とを比べて絶望する人間が増えたというのが
その理由。
対する古代ギリシャ神話の神々は、皆人間以上に人間くさく、
やりたい放題ワガママ放題でもう滅茶苦茶、しかしかえってそれが人々をして
「神様がこうなんだから自分たちもこれでいいんだ」と思わせ、
己の無力や至らなさへの嫌悪や苦しみを軽減してくれた、と、そんなお話。
本作に登場するのは後者の神様。でも寂しがりだったり人肌の温もりを欲しがったり
より一層人間ぽくて、アリだよなこんな神も、と読んでいて何かほっとするような感じ。
かしこまりひざまづく感じじゃなく、思わず後ろから抱きつきたくなるような(前からはさすがに
畏れ多い)、
崇高ながらもどこか等身大な、とても魅力的な神様だった。
というか人にとっての〝絶対神〟はやっぱり、たった一人の生身の人間なんだよな。
家族小説と銘打つ本作、だから私には恋愛小説に思えた。
惚れたはれたの上っ面のことじゃなく、男女のもっと深い部分に根ざした、
原始的な感情を描いたもの。
なので〝リオ〟〝ナオ〟の二人の娘たちはもうちょっとエキストラ扱いでよかった気が。
全編にわたって改行が一切なく、父・母・長女・次女の一人称が溶け合うように変化し巡っていく
(なんだか〝ちびくろサンボのトラバター〟を思わせる)不思議な文体も、
「そうそう、それぞれが一見独立してるように見えても、
実は同じ一つのキーワードで繋がってるんだよね」
と、ネット検索をかけた際にいくつものサイトがヒットしたとき、もしくは
リンクをたどって新しいサイトからサイトへ飛びまわっているときのような共感を抱かせては
くれるのですが、ストーリーそのものがフィクションというよりは著者の散文(エッセイ)といった感じ
なので、
〝皆が一つに繋がっている〟
というよりは
〝著者の自作自演て感じだな〟
の印象が強い。
まあ、著者=神、なわけだから、そう捉えるのも一つの正解なのかもだけど。
登場人物たちが頻繁に口にする「もし自分たちの存在が神の想像に過ぎなかったら」も、
その伏線と捉えることもできるわけだし。
ラストはちょっと無理やりタイトルと絡めて不自然にまとめてるなあ、といった印象。
著者の前田氏には失礼ですが、この手の物語は、舞城王太郎氏なら
もっとうまく書いただろうなあというのが最たる感想。どこか作風が似てるし。どうせ似てるなら
描写力が(あくまで私的にですが)優れているほうの作家に書いてほしい。
ラストがあんな陳腐じゃなかったら
芥川賞候補ぐらいになっていてもおかしくない作品ではあったけどね。
――そう。星に祈ろう。
第19回小説すばる新人賞受賞第一作
特別な存在でありたいと願う中3のはるき。
ある日、同級生の草太の家に隕石が落ちて来たことに嫉妬して、UFOが呼べると言ってしまい…。
星はめぐり、人々はつどう。生の輝きを描く瑞々しい連作集。
★収録作品★
ルナ
夏空オリオン
流れ星はぐれ星
惑星軌道
***
すばる新人賞出身者の中にはありえないほどクサい物語を書く人が多く
(もともとが若い女性向けの青春小説といった作品が受賞することが多いので
仕方ないのかもしれませんが。ってそういやあ先日紹介した関口尚氏もこの賞出身だなあ。。。)
本作も(ちょっと言いすぎかもしれませんが)読んでいて寒気を感じるシーンがしばしば。
だって台詞回しもストーリー展開もヘタな少女マンガよりよっぽど少女マンガなんだもん。
この物語を「読んでるこっちが恥ずかしいよ」と顔を赤らめることなく最後まで読みきれる人は、
女子中学生か根っからのロマンチストぐらいなんじゃないでしょうか。
残念なことにそんな少女マンガテイストとシリアスで深みある表現が
どうにもうまく溶け合ってないんだよなあこの物語は。
互いが互いの魅力を相殺してしまっているというか。
水森さんの独特かつ絶妙な描写に「うまいなあ。。。」と感動しても、その直後に
「あたし、○○のことが好きッ!」みたいなベタ台詞&展開が続くとさすがに興ざめ。
だいたい私には(個人的な話になりますが)親に虐げられて育った友人が多いので、
「おまえは本当は望まれて生まれてきた子じゃなかったんだ」
と平気で実の息子に告げる両親の非常識っぷりが
(悪意がないぶん)相当に不快で仕方なかった。
なのにその父親は、入院すれば皆が見舞いに来るような好人物って。。。何その矛盾。
著者がまだ新人だから仕方ないのかもしれないけど(&デビューもしていない私が
偉そうに言えた義理じゃないけど)、テーマもキャラもそれなりに立ってはいるけど
どこか輪郭が曖昧な感じで、読後も大した感慨は抱けなかった。
というかむしろ伝えたいテーマの描き方があまりに直球過ぎて、
「あーもうわかったよわかりすぎるほどにわかったからいいよもう勘弁して」と
赤面してしまうというか。
。。。どっちなんだ? よくわからない。
。。。。。。どっちもか。
テーマはくっきりと、けれど読み手がそれを著者から押し付けられるのではなく
自分で自然と気づけるように、次回作は書いてくれるとこの作家さんのことは
もっと好きになれる気がします。
デビュー作〝でかい月だな〟はすごくよかったし。
でも本作もラストはとてもよかったですが。
バラバラの星の集まりの銀河系だって遠くから見たらこんななんだよなそういえば、と、
少し世界と繋がれた気がした。
まるで一つの生き物だ。
ちなみに本作が気に入った人は角田光代さんの〝空中庭園〟も
好きになる気がするのでおすすめ。
蛇足:この著者ひょっとして〝ピューと吹く! ジャガー〟読んでる?
だって〝大人はしょせん老けた子供〟って表現。。。
第19回小説すばる新人賞受賞第一作
特別な存在でありたいと願う中3のはるき。
ある日、同級生の草太の家に隕石が落ちて来たことに嫉妬して、UFOが呼べると言ってしまい…。
星はめぐり、人々はつどう。生の輝きを描く瑞々しい連作集。
★収録作品★
ルナ
夏空オリオン
流れ星はぐれ星
惑星軌道
***
すばる新人賞出身者の中にはありえないほどクサい物語を書く人が多く
(もともとが若い女性向けの青春小説といった作品が受賞することが多いので
仕方ないのかもしれませんが。ってそういやあ先日紹介した関口尚氏もこの賞出身だなあ。。。)
本作も(ちょっと言いすぎかもしれませんが)読んでいて寒気を感じるシーンがしばしば。
だって台詞回しもストーリー展開もヘタな少女マンガよりよっぽど少女マンガなんだもん。
この物語を「読んでるこっちが恥ずかしいよ」と顔を赤らめることなく最後まで読みきれる人は、
女子中学生か根っからのロマンチストぐらいなんじゃないでしょうか。
残念なことにそんな少女マンガテイストとシリアスで深みある表現が
どうにもうまく溶け合ってないんだよなあこの物語は。
互いが互いの魅力を相殺してしまっているというか。
水森さんの独特かつ絶妙な描写に「うまいなあ。。。」と感動しても、その直後に
「あたし、○○のことが好きッ!」みたいなベタ台詞&展開が続くとさすがに興ざめ。
だいたい私には(個人的な話になりますが)親に虐げられて育った友人が多いので、
「おまえは本当は望まれて生まれてきた子じゃなかったんだ」
と平気で実の息子に告げる両親の非常識っぷりが
(悪意がないぶん)相当に不快で仕方なかった。
なのにその父親は、入院すれば皆が見舞いに来るような好人物って。。。何その矛盾。
著者がまだ新人だから仕方ないのかもしれないけど(&デビューもしていない私が
偉そうに言えた義理じゃないけど)、テーマもキャラもそれなりに立ってはいるけど
どこか輪郭が曖昧な感じで、読後も大した感慨は抱けなかった。
というかむしろ伝えたいテーマの描き方があまりに直球過ぎて、
「あーもうわかったよわかりすぎるほどにわかったからいいよもう勘弁して」と
赤面してしまうというか。
。。。どっちなんだ? よくわからない。
。。。。。。どっちもか。
テーマはくっきりと、けれど読み手がそれを著者から押し付けられるのではなく
自分で自然と気づけるように、次回作は書いてくれるとこの作家さんのことは
もっと好きになれる気がします。
デビュー作〝でかい月だな〟はすごくよかったし。
でも本作もラストはとてもよかったですが。
バラバラの星の集まりの銀河系だって遠くから見たらこんななんだよなそういえば、と、
少し世界と繋がれた気がした。
まるで一つの生き物だ。
ちなみに本作が気に入った人は角田光代さんの〝空中庭園〟も
好きになる気がするのでおすすめ。
蛇足:この著者ひょっとして〝ピューと吹く! ジャガー〟読んでる?
だって〝大人はしょせん老けた子供〟って表現。。。
好きだ。
地方都市の映画館でアルバイトを始めた恵介。
そこで出会った映写技師の杉本ルカは、外へ一歩も出ることなく映写室で生活しているらしい。
バイト採用の条件は、不可解な三つの約束を守ることだった――。
切なく胸を打つ、感動の青春ミステリー。
***
ぬるいなあー、というのが率直な感想。ミステリとしても物語としても。
レイジという男は妙にキャラが立っていて彼が登場するシーンだけは面白く読めましたが、
それ以外の登場人物たちは皆没個性的で、何だかヘタな少女マンガでも読んでいるよう。
彼らの抱えるトラウマもどれもがあまりにありがちすぎて「ふうん、まあよくあることだよね」
としか思えない。
吉本ばななさんのある作品に、本作のヒロイン・ルカと同じ傷を持つ少女が出てくる話が
あるのですが、同じは同じでもその傷との向き合い方や抱え方、そして
それを乗り越えていこうとする意志とその過程で生じる葛藤、そういった描写の一つ一つに
あまりに実力差がありすぎて(もちろんばななさんのほうが上)、
これを読むぐらいならばななにしとけ、といった感じです。
ルカが引きこもっていた理由も「は? 300P以上引っ張っといてそれだけ?」
としか思えなかったし、
主人公が終盤でルカに想いを告げる際の台詞も
「幼少時にかなり重い体験してきた割には言う言葉がお粗末だな」
と違和感を感じてしまった。
ルカが高校時代ある人物によってひどいコンプレックスを植えつけられ、未だにそれから
抜け出せていないという割には、主人公の弟(イケメン)が
自分を気に入ってくれていたということをあっさりと口にするのも?だし。
悪いけど自分に自信ある女じゃなきゃあんな台詞吐かないよ。
テーマ&導入部だけがやたらと面白く、でも結局は尻すぼみ+ありがちENDという
山田○介的においを感じさせる作品だった。
関口氏は文章が圧倒的にうまいのであれとまったく同列に扱うのは失礼にもほどがあるけど。
あらすじがあまりに興味をそそられる内容だったのでちょっと期待しすぎたなー。
ミステリとして読むのはやめたほうがいいです。ラブストーリー好きの人にはおすすめ。
地方都市の映画館でアルバイトを始めた恵介。
そこで出会った映写技師の杉本ルカは、外へ一歩も出ることなく映写室で生活しているらしい。
バイト採用の条件は、不可解な三つの約束を守ることだった――。
切なく胸を打つ、感動の青春ミステリー。
***
ぬるいなあー、というのが率直な感想。ミステリとしても物語としても。
レイジという男は妙にキャラが立っていて彼が登場するシーンだけは面白く読めましたが、
それ以外の登場人物たちは皆没個性的で、何だかヘタな少女マンガでも読んでいるよう。
彼らの抱えるトラウマもどれもがあまりにありがちすぎて「ふうん、まあよくあることだよね」
としか思えない。
吉本ばななさんのある作品に、本作のヒロイン・ルカと同じ傷を持つ少女が出てくる話が
あるのですが、同じは同じでもその傷との向き合い方や抱え方、そして
それを乗り越えていこうとする意志とその過程で生じる葛藤、そういった描写の一つ一つに
あまりに実力差がありすぎて(もちろんばななさんのほうが上)、
これを読むぐらいならばななにしとけ、といった感じです。
ルカが引きこもっていた理由も「は? 300P以上引っ張っといてそれだけ?」
としか思えなかったし、
主人公が終盤でルカに想いを告げる際の台詞も
「幼少時にかなり重い体験してきた割には言う言葉がお粗末だな」
と違和感を感じてしまった。
ルカが高校時代ある人物によってひどいコンプレックスを植えつけられ、未だにそれから
抜け出せていないという割には、主人公の弟(イケメン)が
自分を気に入ってくれていたということをあっさりと口にするのも?だし。
悪いけど自分に自信ある女じゃなきゃあんな台詞吐かないよ。
テーマ&導入部だけがやたらと面白く、でも結局は尻すぼみ+ありがちENDという
山田○介的においを感じさせる作品だった。
関口氏は文章が圧倒的にうまいのであれとまったく同列に扱うのは失礼にもほどがあるけど。
あらすじがあまりに興味をそそられる内容だったのでちょっと期待しすぎたなー。
ミステリとして読むのはやめたほうがいいです。ラブストーリー好きの人にはおすすめ。
「信じたかったから、信じた。それだけのことですよ」
連続する幼女誘事件の捜査が難航し、窮地に立たされる捜査一課長。
若手キャリアの課長を巡って警察内部に不協和音が生じ、マスコミは彼の私生活をすっぱ抜く。
こうした状況にあって、事態は新しい局面を迎えるが……。
人は耐えがたい悲しみに慟哭する――
新興宗教や現代の家族愛を題材に内奥の痛切な叫びを描破した、鮮烈デビュー作。
***
初読がコレ↓だったため(そしてまだ私の本読みキャリアが浅かったため)、
「なんじゃこりゃあーこんな腹立たしいもん書く作家の本二度と読むかあ~!!!」と
ぶちキレて以来一切手をつけていなかった貫井作品。
。。。。。。
とんだ偏見でしたごめんなさい貫井さん。
わずか二十五歳にしてこれだけのものを書けるあなたを心底尊敬します。
ミステリ作家を目指すものとして驚嘆に値する作品でした(そして自分と比べて
けっこうへこみました)。
本作最大の〝真相〟にはかなり早い段階から気づいてしまいましたが、
それでも物語自体が面白く少しも退屈することなく一気に読破。
単なるエンタメでは片付けられないラストにはひどく考えさせられ深みすら感じました。
そしてタイトルにもなっている〝慟哭〟、
終盤である人物がその〝慟哭〟をしてみせる様は、ヘタすると
ミステリ部分よりも意外かつ衝撃的で思わずこっちが慟哭しそうになってしまった。
ものすごいインパクトだった。
ミステリを読みなれてる人はやはりトリックはすぐに見破れてしまうでしょうが、
それを補ってあまりある面白さ(ラスト間際の、主人公の愛人の〝カマかけ〟は
やや蛇足だった気がしないでもないけど)。おすすめです。
余談ですが本作が気に入った人はこれ↓もおすすめ。信仰宗教のヤバさが
これでもかと描写されていてかなり面白いです。
連続する幼女誘事件の捜査が難航し、窮地に立たされる捜査一課長。
若手キャリアの課長を巡って警察内部に不協和音が生じ、マスコミは彼の私生活をすっぱ抜く。
こうした状況にあって、事態は新しい局面を迎えるが……。
人は耐えがたい悲しみに慟哭する――
新興宗教や現代の家族愛を題材に内奥の痛切な叫びを描破した、鮮烈デビュー作。
***
初読がコレ↓だったため(そしてまだ私の本読みキャリアが浅かったため)、
「なんじゃこりゃあーこんな腹立たしいもん書く作家の本二度と読むかあ~!!!」と
ぶちキレて以来一切手をつけていなかった貫井作品。
。。。。。。
とんだ偏見でしたごめんなさい貫井さん。
わずか二十五歳にしてこれだけのものを書けるあなたを心底尊敬します。
ミステリ作家を目指すものとして驚嘆に値する作品でした(そして自分と比べて
けっこうへこみました)。
本作最大の〝真相〟にはかなり早い段階から気づいてしまいましたが、
それでも物語自体が面白く少しも退屈することなく一気に読破。
単なるエンタメでは片付けられないラストにはひどく考えさせられ深みすら感じました。
そしてタイトルにもなっている〝慟哭〟、
終盤である人物がその〝慟哭〟をしてみせる様は、ヘタすると
ミステリ部分よりも意外かつ衝撃的で思わずこっちが慟哭しそうになってしまった。
ものすごいインパクトだった。
ミステリを読みなれてる人はやはりトリックはすぐに見破れてしまうでしょうが、
それを補ってあまりある面白さ(ラスト間際の、主人公の愛人の〝カマかけ〟は
やや蛇足だった気がしないでもないけど)。おすすめです。
余談ですが本作が気に入った人はこれ↓もおすすめ。信仰宗教のヤバさが
これでもかと描写されていてかなり面白いです。
Give and Takeでいこうじゃないか。
産婦人科医・笹川賢一にとってルチアーノとの出会いが破滅の始まりだった。
この執拗なおカマの尾行者のために、笹川氏の世界はハチャメチャな逆転をとげる。
優雅な「上流社会」からの脱落、家庭崩壊、そしてエイズ。
その中で笹川氏が得た真理と救済とは?
エイズを通じて人間の生の深淵をえぐる問題作。
***
UFOならぬUSO。
〝介護入門〟で芥川賞を受賞したモブ・ノリオ氏が以前インタビューで
「友人から借りて読んだらあまりに面白く自分で買いなおした」と言っていたこと&
タイトルのインパクトに惹かれ手に取った一品。
島田氏ならではの独特かつ絶妙な文章表現、
ルチアーノをはじめとする登場人物たちの今にもこちら側の世界に飛び出してきそうな
人間くささと個性、
SF混じりの純文学といった内容が終盤でサスペンス・ミステリに〝突然変異〟する
その世界観の多様性、
面白かった。魅せられました。
ただ、どっかのカルト教団の教祖(もしくは自己啓発本)あたりが主張してそうな薄っぺらな理屈が
ところどころに見受けられて、いくら少し昔の作品とはいえそれはあまりに陳腐なのでは、と
首をひねることも数回。
プロ作家の割にものの捉え方が平凡というか既に手垢がついている感じというか(島田作品は
これが初読なので、あくまでこの物語に限った感想ですが)。
島田氏が本作で三島由紀夫賞を逃したのはそこらへんが関係あるんじゃ、と
つい考えてしまった。
全体的には良作です。
蛇足ですが、本作がツボな人は、絶対にこれ↓も好きだと思う。
逆もまた然り。片方が気に入ったら是非もう片方も読んでみてください。
蛇足2:ここで紹介しているのは文庫版ですが、単行本のほうが
表紙は圧倒的にかっこいいです。
なので中古で買う人はそっちがおすすめ。
産婦人科医・笹川賢一にとってルチアーノとの出会いが破滅の始まりだった。
この執拗なおカマの尾行者のために、笹川氏の世界はハチャメチャな逆転をとげる。
優雅な「上流社会」からの脱落、家庭崩壊、そしてエイズ。
その中で笹川氏が得た真理と救済とは?
エイズを通じて人間の生の深淵をえぐる問題作。
***
UFOならぬUSO。
〝介護入門〟で芥川賞を受賞したモブ・ノリオ氏が以前インタビューで
「友人から借りて読んだらあまりに面白く自分で買いなおした」と言っていたこと&
タイトルのインパクトに惹かれ手に取った一品。
島田氏ならではの独特かつ絶妙な文章表現、
ルチアーノをはじめとする登場人物たちの今にもこちら側の世界に飛び出してきそうな
人間くささと個性、
SF混じりの純文学といった内容が終盤でサスペンス・ミステリに〝突然変異〟する
その世界観の多様性、
面白かった。魅せられました。
ただ、どっかのカルト教団の教祖(もしくは自己啓発本)あたりが主張してそうな薄っぺらな理屈が
ところどころに見受けられて、いくら少し昔の作品とはいえそれはあまりに陳腐なのでは、と
首をひねることも数回。
プロ作家の割にものの捉え方が平凡というか既に手垢がついている感じというか(島田作品は
これが初読なので、あくまでこの物語に限った感想ですが)。
島田氏が本作で三島由紀夫賞を逃したのはそこらへんが関係あるんじゃ、と
つい考えてしまった。
全体的には良作です。
蛇足ですが、本作がツボな人は、絶対にこれ↓も好きだと思う。
逆もまた然り。片方が気に入ったら是非もう片方も読んでみてください。
蛇足2:ここで紹介しているのは文庫版ですが、単行本のほうが
表紙は圧倒的にかっこいいです。
なので中古で買う人はそっちがおすすめ。
「現場にいなくとも事件を解決できるなんて、
まるでミス・マープルか御手洗潔みたいじゃないか」
綾鹿警察署・五龍神田刑事が、次々と起こる事件の謎に挑む!
事件解決のヒントは、正体不明のホームレス十徳治郎が握る。
あまりにも意外で皮肉な12人の真犯人とは!?
そして、最後に残る物語最大の謎とは!?
ライト感覚の本格ミステリー。
★収録作品★
獅子身中の脅迫者
火中の栗と放火魔
堕天使はペテン師
張子の虎で窃盗犯
ひとりよがりにストーカー
敬虔過ぎた狂信者
その場しのぎが誘拐犯
目立ちたがりなスリ師
予見されし暴行魔
犬も歩けば密輸犯
虫が好かないテロリスト
猫も杓子も殺人鬼
申し分なき愉快犯
***
〝五龍神田〟の名前のとおり、五流の勘を冴え渡らせる(?)迷刑事のズレた活躍ぶりが
微笑ましい連作短編集。
文章はやや硬質ですが内容はコメディタッチ(多少ブラック)、一話一話が短いにも関わらず
二転三転する展開で読者の予想を小気味よくころころと裏切ってくれるので、
飽きが来ず最後まで楽しんで読める非常に良質のミステリです。
ただ五龍神田刑事、いくらそのオトボケっぷりが売り物でも、捜査中の事件の内容を
一般人に喋っちゃうのは小説とはいえ(&そうしないと話が始まらないとはいえ)さすがに
ルール違反だろ@
しかも案の定そのせいで犯罪者による被害が拡大、なのにほとんど反省の色もないし。
いくらコメディ色の強いミステリとはいえ、そこばっかりはちょっとシャレになってない気がした。
打ち明ける相手が一人だけ、そしてそれが事件解決のためというならまだしも、
単なる雑談の一環として「今こんな事件抱えててさあ」とか話しちゃうし。
敢えてそこに眼をつぶれば不満は一切ないですが。
ちなみに最後の一話を読んで初めて、本作がなんでこのタイトルなのかがわかった。
これって島田荘司氏の著作〝斜め屋敷の犯罪〟と同じ、〝タイトルそのものがヒントでありトリック〟
ってやつだなよなー。
そういえば作中に御手洗潔の名前が出たときは思わず笑ってしまいました。
著者はファンなんでしょうか。気が合いそうです(私のミステリ小説における初恋の相手は
御手洗です)。
単純にすごく面白いです。おすすめ。
まるでミス・マープルか御手洗潔みたいじゃないか」
綾鹿警察署・五龍神田刑事が、次々と起こる事件の謎に挑む!
事件解決のヒントは、正体不明のホームレス十徳治郎が握る。
あまりにも意外で皮肉な12人の真犯人とは!?
そして、最後に残る物語最大の謎とは!?
ライト感覚の本格ミステリー。
★収録作品★
獅子身中の脅迫者
火中の栗と放火魔
堕天使はペテン師
張子の虎で窃盗犯
ひとりよがりにストーカー
敬虔過ぎた狂信者
その場しのぎが誘拐犯
目立ちたがりなスリ師
予見されし暴行魔
犬も歩けば密輸犯
虫が好かないテロリスト
猫も杓子も殺人鬼
申し分なき愉快犯
***
〝五龍神田〟の名前のとおり、五流の勘を冴え渡らせる(?)迷刑事のズレた活躍ぶりが
微笑ましい連作短編集。
文章はやや硬質ですが内容はコメディタッチ(多少ブラック)、一話一話が短いにも関わらず
二転三転する展開で読者の予想を小気味よくころころと裏切ってくれるので、
飽きが来ず最後まで楽しんで読める非常に良質のミステリです。
ただ五龍神田刑事、いくらそのオトボケっぷりが売り物でも、捜査中の事件の内容を
一般人に喋っちゃうのは小説とはいえ(&そうしないと話が始まらないとはいえ)さすがに
ルール違反だろ@
しかも案の定そのせいで犯罪者による被害が拡大、なのにほとんど反省の色もないし。
いくらコメディ色の強いミステリとはいえ、そこばっかりはちょっとシャレになってない気がした。
打ち明ける相手が一人だけ、そしてそれが事件解決のためというならまだしも、
単なる雑談の一環として「今こんな事件抱えててさあ」とか話しちゃうし。
敢えてそこに眼をつぶれば不満は一切ないですが。
ちなみに最後の一話を読んで初めて、本作がなんでこのタイトルなのかがわかった。
これって島田荘司氏の著作〝斜め屋敷の犯罪〟と同じ、〝タイトルそのものがヒントでありトリック〟
ってやつだなよなー。
そういえば作中に御手洗潔の名前が出たときは思わず笑ってしまいました。
著者はファンなんでしょうか。気が合いそうです(私のミステリ小説における初恋の相手は
御手洗です)。
単純にすごく面白いです。おすすめ。
「どこへ行くんですか?」
「もっと先だよぉ」
大学に入学して早々、廃部の危機に瀕した落語研究会に入部するはめになった越智健一。
勝手な先輩たちに振り回され、ろくに授業も出られず、そのうえキャンパスで
奇妙な事件が起きて…。
中篇2篇を収録した連作落語ミステリー。
★収録作品★
幽霊寿限無
馬術部の醜聞
***
どちらかというと中高生向きかなー。
文章は非常に読みやすく物語もテンポよく進んでいくのであっという間に読破できますが、
あまりに爽やか&シンプルにまとまりすぎていて二十代後半の自分には少し物足りなかった。
でも十分に楽しめます。
それにしても著者の大倉氏、〝周囲に振り回される主人公〟を書かせたら
右に出る者はいないよなーほんと。〝猟奇的な彼女〟のノベライズとかこの人にしてほしいです。
デビュー作〝ツール&ストール〟とほぼキャラがかぶり気味の振り回されキャラ・越智くんも、
なかなかいい味出してました(デビュー作の主人公・白戸くんには敵いませんが)。
ただそのぶん振り回す側、つまり〝受動キャラ〟じゃなくストーリーや主人公を引っ張っていく
〝能動キャラ〟の個性が弱いのが、この著者の欠点といえば欠点かもしれない。
〝福家警部補の挨拶〟の探偵役・福家警部補も、キャラが薄すぎて犯人を追い詰めるシーンも
迫力&爽快感があまりなかったし。
ストーリーテリング力と構成力はかなりある作家さんであるだけにそこはかなり残念なところ。
本編のあとに著者自身が触れていますが、同じ落語ミステリなら田中啓文氏の
〝笑酔亭梅寿謎解噺(しょうすいていばいじゅなぞときばなし)〟シリーズのほうが
圧倒的にレベルが高い(というか大人向け)。
唯一本作のほうが優れているのは、落語そのものをトリックに使っているところ。
そこは「へーなるほどねえ~!」とうならされました。
落語+ミステリが読みたい人は〝笑酔亭~〟、
落語ミステリが読みたい人は是非本作をどうぞ。
つまり、一つの物語。
僕は「片説家」。「小説」と違って、個人のリクエストで、その人のためだけに物語を書くのが仕事だ。
いや「片説家」だった。昨日、解雇されたのだ。
途方に暮れる僕の前に、自分のために「小説」を書いて欲しいという女性が現れた。
しかも、失踪しているという彼女の妹は、かつて僕がいた会社が、片説を渡した相手だという。
これが21世紀型「悩める作家」。日本文学一千年が、今夜新宿でビッグバン!
***
ある特定の個人に向けて書かれた小説を〝片説(へんせつ)〟と呼ぶのだとすれば、
本作はある意味〝小説家を志す人〟に向けて書かれた〝片説〟なんでしょう。
ありきたりな感想だけどほんとそう思う。
サラリーマンにとっての〝およげ!たいやきくん〟、
主婦にとっての〝韓流ドラマ〟、
そして〝作家志望者〟にとっての〝1000の小説とバックベアード〟。
一人の人間が作家になるまでの、そして一つの物語ができあがるまでの
苦悩と葛藤と憤りと開き直りと達観と混迷と絶望と狂気と狂喜、
そういった諸々の感情を疑似体験(もしくは追体験)することができます。
主人公を自分と比べることで、作家志望者としての現時点での己を客観的に見ることにも使える。
もちろんこれは小説指南書なんかじゃなくれっきとした小説(片説?)ですが。
ちなみに本作は三島由紀夫賞受賞作なのですが、
まあ設定の斬新さ等を見れば納得いかないこともないですが、
後半の展開が以前の同賞受賞作である舞城王太郎氏の〝阿修羅ガール〟とかぶり気味なのが
若干気になった(前半は多少現実離れしていながらも違和感なく読める世界観、ところが
半ばを過ぎたあたりで唐突にシュールかつファンタジックな物語運びに豹変、といった点)。
文体(というかところどころに出てくる言葉遊び)が西尾維新氏にかなり似ているのも少しあれ? と。
あくまで本作を、私が作家志望であることを抜きにして見た場合、
著者が一番言いたかったことが何だったのか、テーマも登場人物のキャラ立ちもおぼろげで
いまいち判然としないし。
これなら著者の前著〝子供たち怒る怒る怒る〟のほうがよっぽど面白かったし物語から伝わってくる
メッセージも明確だった。
まあでもプロの小説家を目指す人(もしくは既にプロの人でも)は読んでみて損はないです。
私もいろいろと気づかされたり感銘を受ける部分が多かった(納得いかないとこもあったけど、
それはそれで(心の中で)意見を戦わせるのが楽しかった)。
あ、あと二十代後半あたりの人にもいいかな。大人とも子供とも言えない、そんな中途半端な
年代についての同世代の主人公の語りにも、大いに共鳴できるところがあるので(ちなみに私は
著者の佐藤氏と生まれ年も出身地も同じなので、かなり感性や物の感じ方が近く読んでいて楽しい)。
最後に。〝バックベアード〟ってこんなやつです(手前は鬼太郎)↓
今気づいたけど白黒だあ~!
そういや鬼太郎の身体つきも自分が子供のころ観てたのと
微妙に違う。。。
それとも――やっぱり苦しかった?
堕ちていく女 驚愕の結末!
作家・辰巳まるみが書いた小説『機械の森』。
そのゲーム化をはかるスタッフ8人が湖畔の別荘に集まった。その夜に悲劇が起こる。
社長令嬢の香織が別荘の尖塔から墜落死したのだ。しかも彼女は妊娠していた。
自殺なのか、それとも?
誰もが驚くジグソー・ミステリ、著者自身による解説を加えた「完全版」で登場!
***
ここで紹介しているのは文庫版ですが、私が読んだのは新書版。
あまりの無秩序&荒唐無稽さに物語の方向性を最後まで掴み切れないまま、欠伸を噛み殺しつつ
気づけば読み終わっていた、というのが正直なところなので、
著者の解説があればもうちょっと筋道だった読み方ができたのかもな、と残念に思い中です。
著者からのひと言に、「ジグソーパズルを組み立てるような感じで読んでいただければ」
というようなことが書いてありましたが、眼の前にあるのが絵柄がバラバラのピースでは
まったくやる気が起こりません。
仮にどうにか組み立てたところで、完成する絵があまりに前衛的というか抽象的なものというのでは、
何の驚きも感動も湧かない。
実際もう既に内容忘れかけてます。
辛うじて印象に残っているのは、
この著者の書く小説の登場人物は相変わらず利己的で自分本位で小賢しい連中だらけで
好きになれるキャラが一人もいないなあということ。
風景(特に建築物)の描写がくどくて読むのが億劫だったこと。
「どひー」といった台詞とかエヴァとか、全体的にオタク臭が漂っていたこと(その割には肝心の
〝機械の森〟というゲームの内容や、その制作チームのメンバーたちが開発に携わる描写が
「読者の想像に委ねるにもほどがあるだろ」と突っ込みたくなるほど皆無だったこと)。
そして何より、ハラ痛いときに普通わざわざアイスクリーム食べないだろ、ということ。
要するに不満ばかり憶えてる。
駄作、と切り捨てるのも何か違うような気がする。
よくも悪くもない、好きにも嫌いにもなれない、
要するに〝存在感のない〟物語なのかな、これは。
そんな小説に出会ったのは初めてなので、これはこれで貴重な作品なのかもしれない。
〝機械の森〟、こんな感じかな?
作中にギーガーのネタが出てこなかったらたぶん途中で読むの放棄してただろうな。
放棄してたほうが結果的にはよかったのかもしれないけど。。。
H.R.Giger。すごい好きなアーティストです(もはや小説の話から脱線してますが)。
堕ちていく女 驚愕の結末!
作家・辰巳まるみが書いた小説『機械の森』。
そのゲーム化をはかるスタッフ8人が湖畔の別荘に集まった。その夜に悲劇が起こる。
社長令嬢の香織が別荘の尖塔から墜落死したのだ。しかも彼女は妊娠していた。
自殺なのか、それとも?
誰もが驚くジグソー・ミステリ、著者自身による解説を加えた「完全版」で登場!
***
ここで紹介しているのは文庫版ですが、私が読んだのは新書版。
あまりの無秩序&荒唐無稽さに物語の方向性を最後まで掴み切れないまま、欠伸を噛み殺しつつ
気づけば読み終わっていた、というのが正直なところなので、
著者の解説があればもうちょっと筋道だった読み方ができたのかもな、と残念に思い中です。
著者からのひと言に、「ジグソーパズルを組み立てるような感じで読んでいただければ」
というようなことが書いてありましたが、眼の前にあるのが絵柄がバラバラのピースでは
まったくやる気が起こりません。
仮にどうにか組み立てたところで、完成する絵があまりに前衛的というか抽象的なものというのでは、
何の驚きも感動も湧かない。
実際もう既に内容忘れかけてます。
辛うじて印象に残っているのは、
この著者の書く小説の登場人物は相変わらず利己的で自分本位で小賢しい連中だらけで
好きになれるキャラが一人もいないなあということ。
風景(特に建築物)の描写がくどくて読むのが億劫だったこと。
「どひー」といった台詞とかエヴァとか、全体的にオタク臭が漂っていたこと(その割には肝心の
〝機械の森〟というゲームの内容や、その制作チームのメンバーたちが開発に携わる描写が
「読者の想像に委ねるにもほどがあるだろ」と突っ込みたくなるほど皆無だったこと)。
そして何より、ハラ痛いときに普通わざわざアイスクリーム食べないだろ、ということ。
要するに不満ばかり憶えてる。
駄作、と切り捨てるのも何か違うような気がする。
よくも悪くもない、好きにも嫌いにもなれない、
要するに〝存在感のない〟物語なのかな、これは。
そんな小説に出会ったのは初めてなので、これはこれで貴重な作品なのかもしれない。
〝機械の森〟、こんな感じかな?
作中にギーガーのネタが出てこなかったらたぶん途中で読むの放棄してただろうな。
放棄してたほうが結果的にはよかったのかもしれないけど。。。
H.R.Giger。すごい好きなアーティストです(もはや小説の話から脱線してますが)。
プロフィール
HN:
kovo
性別:
女性
自己紹介:
80年代産の道産子。本と書き物が生きる糧。ミステリ作家を目指し中。
カレンダー
12 | 2025/01 | 02 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | |||
5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 |
12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 |
19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
アーカイブ
フリーエリア
最新コメント
[11/21 LaraGonzalez]
[02/24 kovo]
[02/24 稀乃]
[01/10 kovo]
[01/10 ゆうこ]
最新トラックバック
最新記事
(02/13)
(01/15)
(01/07)
(12/26)
(12/17)
ブログ内検索
最古記事
(09/14)
(09/14)
(09/15)
(09/25)
(09/29)